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遠回り
19.隠された真実








図書室で美香を抱き締めている忍足は、ゆっくり話し始めた







「俺、その頃からな、脅されてん」





突如明かされた秘密に、困惑の表情をみせる美香




「知っとるやろ?恵美って、ソイツが脅したんや…彼女にせんかったら、美香に何かする、てな」





美香の頭を撫でながら、目を閉じた忍足






「は、…笑うてしまうよな、何かするって…弱虫な俺は、その何かが怖かったんや…」





力が強くなった忍足の手を、美香は、ゆっくり撫でた





『先輩…』







「許してもらいたいけど…やっぱ、そない簡単にはいかへんて分かってるから…」






美香は、ふるふると首を振った






『先輩…悪くないです…』




涙を一層流しながら美香は忍足に抱きついた






『気付いてあげられなかった…私が…悪い、です』





刹那、忍足はぎゅっと美香を抱き締めた



お互いを確認して




裂かれた時間を



離れてた距離を



埋めるように







「好きや、美香…!!」






「ゆ、し…」





ずっと一緒に居たかった
今まで、私達は遠回りを
してきたんだね…侑士…







忍足は美香の髪をすくい上げ、キスを額に落とした





「また、一緒に居てくれますか?」






涙は、もう、でない



貴方が傍に居てくれることが、何よりも嬉しいから






『っ…はい!!』







キツく、抱き合った二人は





もう、何にも揺るがないだろう








優しい風が


本のページをめくった










あきゅろす。
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