遠回り
18.心に嘘はつけない
今日、本当に最後かもしれない
全部本当の事を話すため
また、図書室に先輩を呼び出した
「美香…」
『すみません…呼び出して』
図書室には既に先輩が居て、少し緊張した。
でも、今日、言わなくちゃ
「で…?」
優しい忍足の問い掛けに美香は、少し息を吸った
『最後まで…聞いてください』
忍足を見据える美香は、もう、覚悟を決めていた
『あれは、私達が付き合いだした頃でした』
ゆっくり話しはじめた美香
『私、先輩が女生徒から人気があるのは、知ってました。それで…覚悟はしていたんですけど…』
美香が、ちらりと忍足を見ると、真剣な眼差しで美香を見ていた
『(き、緊張する)先輩のファンからの…イジメが始まっちゃって』
ぴくりと、忍足の肩が揺れる
動揺しているのだろう
『で、跡部先輩達が助けてくれて…同学年の子とかは、長太郎くんや、日吉くんが…みんな、守ってくれました』
「なんで…俺には言ってくれへんかったん?」
悲しそうに問い掛ける忍足に、美香は、目を伏せ、呟くように話した
『……心配…かけたくなくて』
「っ…そっか」
忍足は自分の腑甲斐なさに、怒りを募らせた
『R陣のお陰で、イジメは無くなりました。すごく、嬉しかった。また、……先輩と一緒に居れるんだって…』
少し、沈黙が流れる
『でも…先輩は変わっちゃった…』
不意に、美香の瞳から涙が零れた
『っ…だからっ、も、う、わかんなく、て…』
小さな手で涙を拭いながら、話す美香を忍足は、引き寄せ抱き締めた
ぐいっ…
『せ、んぱ…』
ぎゅっ、と抱き締める力を強めた
「そこからは…俺が、話してええ?」
『はい……』
緩やかな風が
図書室へと、入ってきた
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