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「ひゃわっっ」
思わず口をついて出た独り言に対する返事が返ってきたことに驚いて、素っ頓狂な声になる。
―びっくりした…。
その反応に諏訪さんが、ふっと笑うのが背中越しにわかる。少し恥ずかしくなった。
「英輔、さっきまで一緒に居た背高い奴ですよ。諏訪さん話してたじゃないで…!」
「あー…」
振り返った俺はその姿に焦る。
ベッドに向かって歩いてくる諏訪さんは服を着ていなかった。
上半身が…裸のまま、だ。
何となく、彼から目を逸らす。
濡れた身体を首にかけたタオルで拭きながら俺の隣に座る諏訪さん。
ふわっ、とボディソープの柔らかい香りが漂う。
「…」
―服、着ないのかな。
…俺は諏訪さんにとってあくまで他人で…それもライブの客であるはずだ。
これは、どうなのだろうか…無神経、というか何というべきか。
俺が黙っていると、諏訪さんは下から顔を覗き込んで言う。その近すぎる距離に何故か緊張が走った。
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