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目の前にあるライブハウスの周辺にはちらほらと数人がたむろしている。
俺は一人、植え込みがある所に腰を下ろしていた。
―あいつ、まだかな…。
顔を上げて辺りを見回すと、ライブハウスの前にいる何人かと目が合った。
その瞬間、俺の視線は斜め下へと落とされる。
人の目…
人が、苦手なのだ…。
普通に外を歩いていれば必然的に誰かしらと目が合うだろう。
しかし、ただそれだけのことが俺を沈ませる。
外に出ると、自然と下を向いて歩く自分がいる。
見られたくない。
見たくない。
見られたくない―…
見られているわけじゃない、なんてわかっている。
これを、単なる自意識過剰と言うのだろうか。
目の前を通り過ぎていく女の人の笑う声が聞こえてくる。
俺にはその笑い声さえも、苦しい。自分には全く関係無いだろうとわかっていても。
無意識と眉間に皺が寄っていた。
そのとき、見つめていた地面に影が落ちる。
「『めちゃくちゃかっこよくない?!』だってよー」
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