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「誰と話してたんだよ」

スタジオにやって来た有紀が不満げな表情で僕を問い詰める。
何となく焦って切ってしまった携帯をポケットに突っ込んで答えた。

「別に、誰でもない」

「…違う…」

「?何が」

「……いつもは女の人とか、友達とか…正直に言うくせに…」

僕の顔を睨みつけていた有紀はふいっと顔を背けると、尖らせた口でボソリと呟いた。けど、よく聞こえない。

「なんか言った?」

「うるせ、なんも言ってねーよ!」

なぜか逆ギレしている様子の有紀は僕を押し退け、ずかずかと大股で部屋の奥に入っていく。

「何だよゆ…」

僕は有紀を追おうとして、言葉に詰まる。

―あ…?


その背格好が。

誰かに似ている、と思った。


「理人…?」

気付けば、ほぼ衝動的に有紀を後ろから抱きしめていた。
自分より頭ひとつ分背の低い彼の身体は、僕の両腕の中にすっぽりと収まっている。

こちらを振り向いた有紀は不思議そうに僕のことを見つめて口を開く。

「理人どうした…
んッ!!」

その顎をくいと掴んで強引に自分の唇を重ねた。

「ん、んむぅっ…ふぁ…あ…はっ…んッ」

差し込んだ舌先で歯列をゆっくりとなぞってやれば、有紀もそれに応えるようにすぐ舌を絡ませてくる。

「りひっ、とぉ…っふ…んッ、んん、りひ…っは、ぁ…っ」

「ふ、っん、ゆ…うきっ…、んぁ、む」

舌の付け根を辿り、角度を変えながら、僕と有紀は互いの口腔内を犯し合う。

「っんは…ぁ…はぁ…あ…ん…」

ちゅ、と濡れた音を立てて離れていく唇と唇の間を唾液の銀糸が引いた。
有紀の口端に垂れたそれを舐め上げてやる。

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