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最果ての剣




七「もう、怖いなあ。そんな顔しないでよ。」


陸の前で少し屈むと、花が舞うような柔らかい笑みを浮かべた。


七「如月陸君、だよね?」


陸「え?」


七「ビ〜ンゴ。」


すっ、と陸の頬を撫でると、真っ黒の頭を優しく叩いていた。


奏「なにが?」


七「うん、会長に言われてね。」


乗せていた手を下ろしながら立ち上がった。笑みを浮かべている顔が、ゆっくりとこちらに向く。


七「編入生が来るから見つけたら案内してやってね、って、」


奏「他人事かよ。」


この場にいない人物へ呆れるように言う。

あいつ会長だろ?ていうか、七瀬は生徒会じゃねえし。たいした仕事も無いのに…


七「奏に言っといてって頼まれたよ。」


奏「はあ?」


思わず間抜けな声が出た。

なんで俺?七瀬はともかくなんで?俺生徒会も何も入ってないし。


七「まあいいじゃない。そのまま案内しちゃってよ。」


奏「…仕方ねえな。まぁ、理事長に頼まれてたから、初めからそのつもりだったけど。」


会長様を思い浮かべる奏と七瀬の表情は、変に苦い笑みだ。

生徒会長の酷い扱いには慣れてる。むしろ、人を使ってこそ会長だと思う。

てかあの人が素直に人を案内してるほうが怖い。


陸「…あの。」


小さく呼んだ陸を見れば、俺のブレザーをちょんと掴んでいた。


奏「どうした?」


陸「…僕、迷惑でしょうか?」


不安げに呟く陸を七瀬が不思議そうに見た。


七「そんなわけないじゃないの。」


奏「迷惑だったら案内なんかしねえよ。嫌々やるなんて、俺そんな器用じゃないし。」


陸「…はい。」


先程までこちらを見上げていた顔は床を見つめていて、表情は分からない。出てきた声音もなんとなく弱いものだった。

何がどうしたのかは、俺には分からないけど、こちらに向けられといないその顔は、笑っていて欲しいと思った。


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