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おれは、仲間よりも先にこの島に上陸し、視察もかねて街を歩いていた。


この島は、何日か前から海賊が居座っているらしい。


港で海賊達に出くわしても面倒なので、街から見て回った。


海賊見渡すかぎり1人もいないし、住民は皆避難しているらしく、中心街だというのに閑散としている。


店はもれなく荒らされていた。


ここでは補給できそうにねェな。


小さく舌打ちをして、港へ戻る。


大通りは通らず、路地裏を通った。


出口に人がいたので軽く気絶させ、着いた港では、ちょうど街から根こそぎ奪った荷物が海賊船につまれている途中だった。


海賊達はもう出航するようだった。


1人の海賊がこちらに気付くと、顔を青くした。


「お、おまえは…!」


その声で全員こちらに気付き、一瞬固まったが、おれを取り囲み始めた。


ちょうど良かった、こいつら潰して積み荷を貰おう。


ついでにこいつらの持っている財宝も奪っていこう。


おれを取り囲み終わったのか、相手の海賊は動かなくなった。


張り詰めた空気が、その場に満ちる。


相手達はおれの一瞬の隙を狙っているようだった。


そのとき、さっきの路地裏から人が転がり出てきたのが見えた。


…あの路地裏にも、街にも、人なんかいなかった。


なんだアイツは…少し眉間に皺をよせていると、アイツがこっちに叫んできた。


ち…、空気くらい読めねェのか。


ぴん、と張り詰めた空気が乱れ、そのまま乱闘が始まった。










戦っていると、視界の端に銃でこっちを狙っている男が見えたが、無視して襲い掛かってくる奴らを倒し続ける。


それから少しの間があり、


ギィィン!


鈍い金属音。


音のした方向に目をやると、さっきおれを狙っていた奴の銃が矢に弾き飛ばされていた。


(誰だ…?)


しかし敵に囲まれていて手が離せないため、姿を確認できない。


―気付けば目の前の敵はあと2人。


そいつらを倒して矢が飛んできた方向を見る。


と、さっきのアイツが弓矢を持ってぼぅっと立っていた。


(!!)


良く見ると、路地裏から出るとき倒したはずの男が銃でアイツを狙っていた。


チッ、この距離じゃあ間に合わねェ!


「おい!」


思わず叫んだ。


パパァン!!


銃声。


打たれたアイツは倒れた…



と思ったがそうではなかった。


ふらっとした体を足で支えると、男に向かって弓を構えた。


生きていた。


男が弾を外した分けじゃない。


アイツが、躱した。


あれは…見聞色の覇気…!


そのまま弓矢を構えたまま、男の方に歩み寄る。


パァン!


焦った男が打った弾はまたも躱され、もう一度引いた引き金は渇いた音をたてた。


そのままアイツは男に弓を放った。


ガァン!


何かが割れる音。


…殺したのか。


おれが駆け寄ると、そいつは、まだ二十歳もきてないような女だった。


胸の上辺りまでのウェーブがかったふわふわの髪。目は二重でぱっちりとしている。


「お前、「あー、さっきの人!声かけてくれてありがとね!危なかった!あとおっさん、この街の人?ちょっと力込めすぎて石畳ぶっこわした!ごめんな!」


よく見ると男の近くの石畳に矢が刺さって壊れていた。


「…」


気絶している男を見て、殺してなかったことに安堵する。


―女が人殺しをする所なんて誰も見たくない。


「あ、あたしリント!おっさんは?」


「…マルコだよい。おっさんじゃねえ」




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