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REVERSE



トントン…ノックの音に目を覚ました。ちっ。今寝たばかりっていうのに。


「入れよい」


イライラしつつ反応がないドアに軽く怒鳴ると、遠慮しがちに開いたドアの向こうにはリントが立っていた。


「ごめん…寝てた?入っていい?」


リントは眠そうに目を擦りながら言った。


「ずっと我慢してたんだけど…あの部屋気配が強すぎて寝れなくて…すっごいギラギラしてんの」


そうだった。バタバタしてて忘れていたが、リントは見物色の覇気の持ち主だった。それも相当の力だ。


しかも男だらけの中にいて普通だと無事でいられるわけがない。そこは隊員達もさすがに手を出さなかったらしいが、気配は消せなかったようだ。と言うか、家族に手を出したヤツは許さねェ。


「ね、ちょっと相手してくんない?」


「…は?」


思いもよらないこの一言に声が裏返りそうになった。


「白ひげ海賊団のこととかー、あの書類の山のこととかー、いろいろ知りたいこといっぱいあるんだよねー」


リントは部屋に入ると、机に備え付けの椅子に座り、胡坐を組んだ。


頭が痛くなってきた…そんな事かよ…初めて会った時あんな事を言っていたから、…


「今夜だけいいっしょ?」にひひ


…こいつ分かって言ってんのか……あ、そういえば…


「リント…お前敬語…」


「あ!ごめん、やっぱ2人の時も敬語の方がいい?ほら、あたしたちってタテだけの関係じゃないじゃん。だめ?」


椅子をベッドサイドまで椅子を引っ張ってきて、胡坐を組んだ足はそのままに、ベッドに手をつき上目遣いがちにこちらを覗きこんだ。


近くで改めて見るリントは海賊でやって行けるのか不安になるような可愛らしい容姿。ぶかぶかのTシャツからは滑らかな肩が覗いている。


「…まあいいよい」


「ん、ありがと」


それから沈黙。
ふと、女と一緒にいて沈黙になるのは久しぶりだなと思った。だいたい女の方が機嫌を取ろうと絶え間なく喋るのだが。


「ねぇ」


先に口を開いたのはリントだった。


「一緒に寝てもいい?ここで」


布団をぽふぽふ叩きながら言った。


さっきのことがあった後もあり、さすがにどういう意味かは分かる。本当にただ一緒に寝るだけだ。気付くとリントはもうベッドに潜り込んでいる。


「おい…、狭いだろうがよい」


「くっついて寝れば大丈夫!あったかいし!」


思わずはあ、とため息をついた。こいつと一緒にいるとため息ばかりでる。


「聞きたいことがあるんじゃなかったのかよい」


見下ろすとリントはすでにすやすやと寝息をたてていた。


ち…もういいよい…ガシガシと頭を掻くと、諦めて、そのまま横になった。


リントが家族に加わった日の夜は、こうして更けていった。





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