みらーぱにっく
執行猶予
「雨宮、お前こんなところで何やってんだ〜?」
独特のゆるい口調が聞こえて、俺の頭は覚醒した。
「………鈴ちゃん。………ッ!!久遠さんはっ!?」
「鈴ちゃんって呼ぶな。久遠ならさっきそこの角ですれ違ったが……お前なんかしたのか?」
鈴ちゃんこと鈴川琢磨は俺のクラスの担任。
基本的に面倒くさがりで“熱意に溢れた教師”だなんてお世辞でも言えないような人だけど、本当は結構生徒の事を心配してくれてるいい先生だ。
ちなみに鈴ちゃんはイケメンなので、お母様方から絶大な人気を博している。
「い、いや……別に何も」
「ならさっさと教室入れ」
「はーい」
「雨宮」
教室のドアを開けようとしたら、鈴ちゃんに腕を捕まれた。
「なーに?」
へらりと笑って聞き返せば、鈴ちゃんの大きな手が頭に乗っかった。
「……?」
「何かあったら言えよ」
ふっと笑って、鈴ちゃんは先に教室へ入っていった。
「……ッ」
なに、このかっこよさ。
反則でしょ!
何か鈴ちゃんが人気な理由がわかった気がする……。
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