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みらーぱにっく
実刑判決


階段を駆け上がって、屋上の扉を開いた。

キィ……

と錆びた音がして、目の前に青々とした空が広がった。

数歩足を踏み出して、辺りを見渡した。

まだ来てないのか……?

ほっと息を吐いたとき、後ろから腕を引かれた。

「うぁっ」

「あっれー?もしかしてキミがウワサのアマミヤくん?」

ぎゅむっと両方の頬を大きな手で固定されて、ニヤニヤと笑う美形と目があう。

この人って……。

「瀬川、さん」

「アマミヤくんってばオレのこと知ってんのぉ?」

「は、はい」


知ってるも何も、瀬川ツムギはかなり有名だ。

瀬川さんは久遠さんの右腕的な存在で、いつも胡散臭い笑顔をはりつけているのが印象的な男だ。

「えぇー?俺の笑顔ってそんなに胡散臭いぃ?」

胡散臭いというか、いつもへらへらしてるよな。

「へらへらって、アハハッ。アマミヤくん、いい度胸してるねー」

「へ?」

あ、あれ?

なんか瀬川さんがさっきよりも笑顔になってる気がするんだけど……。

俺なんか言ったのか?

「俺にそんなこと言うの、タカとキミくらいなんじゃないのぉ?」

タカっていうのは、瀬川さんが久遠さんを呼ぶときの愛称らしい。

「おおお俺何か失礼なこと言いましたか?」

「俺の笑顔は胡散臭い上にへらへらしてるんだってー」

「えっ?」

お、俺もしかして……。

「声に出てたよぉ」




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