舞い狂う桜に何を願う?
4
「この嘘つきたっくんめ。田んぼに落ちてカエルまみれになっちゃえ」
崇を田んぼに突き落とそうと体当たりしようとするが、軽々と受け止められてしまう。
「ばーか。体格差考えろ」
意地悪そうに笑みを浮かべると、崇は俺を米俵を軽々と持つように片脇に抱えた。
190センチもある長身の崇に対して、俺は168センチとかなりチビ。
おまけに細身なので、崇からすると米俵よりも軽いのかもしれない。
「なっ、ちょ、この、あほ崇、降ろせっ!」
「遼司、今朝何食った?」
「んー、もりもり牛乳飲んだだけ。」
「もり牛不味くないか?やったらCMやってるけど。」
「えぇー、美味しいよ」
じたばた暴れて騒ぐ俺を無視し、二人は最近巷で流行りのもりもり牛乳という名前の牛乳について話している。
むかつく!
何かとあれば体格差を自慢しやがって!
中学のから、よくこうやって崇に担がれることがあった。
理由は崇曰く『踏みそうになるから』だそうで。
…喧嘩売ってんのかこいつは。
そして遼司は暴れる俺を見て笑うだけで、何も言わない。
助けろよ!、と叫んでもいつも知らんぷりなのでもう助けは二度と求めない。
お前ほんとに友達か?とたまに問いただしたくなる。
「…背ぇたかのっぽのくそ野郎」
こうなったらもう抵抗しても無駄なので、ぶつぶつ悪態をつきながらも大人しく崇に担がれていることにした。
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