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舞い狂う桜に何を願う?

 


どうでもいい、というように素っ気ない返事をすると、崇は空を見上げた。


俺もつられて、薄い雲が所々浮かんでいる空を見上げてから、少し視線をずらして崇を見る。




そよそよと、4月の暖かくて優しい風が、崇の髪を揺らした。



「…気持ちいいな。」

「うん。…絶好の、入学式日和だ。」


崇の言葉に、その横顔を見ながら頷いて花びらが飛ばないように軽く握り込むと、遠くから「ゆーちゃぁーん!」という、聞き慣れた声が耳に届く。

声のした方を見ると、長めの金髪を揺らしながら此方に向かって走ってくる裕真の姿が見えた。




「遅刻魔遼司!遅いぞーっ!」


笑って叫びながら、手を開いて桜の花びらを解放する。










…やっぱり、さっきの願いはやめた。




この3人が、いつまでも、仲良しでいられますように。








  


 

 




 

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あきゅろす。
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