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舞い狂う桜に何を願う?

 






落ちてこい。落ちてこい。



その願いが後ろにそびえ立つ桜の木に届いたのか、はらり、はらりと頭上から舞い降りてきた一枚の桜の花びらを、その場で少し跳ねてぱしっと掴む。




そっと開いた手の平には、淡いピンク色の薄っぺらいそれが、ちょこんと乗っていた。



「やった。…今年こそ彼女が出来ますように。なむなむ。」


「ゆず、何やってんの。南無南無って絶対違うよそれ。」


桜の花びらを握りしめ今ふと思いついた願いを口に出して呟くと、隣に立って、ぼーっと畑を眺めていた崇が呆れたような目で俺を見つめる。
そんな崇の言葉に、いいの、と頬を膨らませた。




「…それよりも知ってるか、自然に落ちてきた桜を片手で掴めたら、願いが叶うんだって。」

圧力を加えてしまい、少しよれてしまった花びらをもう片方の手で撫でながら自分より幾分か背の高い崇を見上げると、崇は胡散臭いとでも言いたげに眉を潜める。



「それで願いが叶うなら、苦労しない。」

「まーな。でも、なんかロマンチックじゃない?」

「そーだね。」


 

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