童話小説 ページ:7 言葉は、唱えれば唱えるだけ、どこへでも行った気持ちになりました。 花弁たちの声よりも先に、まずは自分の声を聞きました。 どこそこに行ったよと、言葉にして語れば、本当にそんな気がして、嬉しくなってしまいます。 花弁たちもほほえましく見守りました。 様子を語るための偵察は必要がないようですね。 今日はこんなお菓子を食べたわ、と並べると、 それだけで心が豊かになっていきますし、 (桜の木はお菓子を食べませんから、憧れる子どもたちの会話から、聞き齧ったのですが) 花弁たちもそんな桜の木が元気そうで良かったと喜びました。 桜の木は、猫や人よりも満たしてくれているものを見つけました。 誰かの言葉です。 [*前へ][次へ#] |