童話小説
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嘆いていた木は、やがて名案を思い付きました。
「そうだ!あなたも私の身体の一部になればいいんだわ」
子猫はいやいやと抵抗をしました。
貴方だけなの!
桜の木は、必死に子猫を求めますが、そ知らぬ顔で木の上で居眠りを始めます。
じれったくなった木は、ぶんぶんと身体を揺さぶりました。
明くる日も、子猫は桜の木の頼みを聞きませんでしたし、昼寝をしました。
子猫なりには、「これで寂しくないだろう」と思ったのでしょうが、桜の木はどうしても自分に取り込めないことへの苛立ちだけがあり、また悔しがり体をぶんぶんと揺らしました。
ホワイトボオドを囲んで遊んでいた子どもの一人に枝がおっこちました。
花弁たちが、大丈夫?
と心配をしています。
けれど少し擦り傷になっただけのようで、また遊び始めました。
また明くる日、先生に連れられて一人の老人がやって来ました。
彼は木のお医者さんです。
あのね、木にも病気や怪我、お医者さんがあるんですよ。
邪魔な枝を切ったり、接ぎ木をしたりして、木が健康に育つように見ているんです。
枝や身体を見るなり驚きます。
「これはこれは。ずいぶんと蓄えてしまいましたね」
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