純愛小説
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椅子と付き合ってるなんて、誰にも言ってない。教室のそばにある、小さな椅子。
バレンタインのときに、チョコレートを乗せたらゆっくり溶けて、食べてくれた椅子は、ほんのりと染みが残っている。
今年はどんなチョコをあげようかな。
私は椅子が好きだ。
窓からわずかに日が差し込む時間に、いつもの特別教室に行くとそれは定位置に置かれてる。
心地よい日差しを浴びながら、佇んでいる。
椅子が気になり出したのは入学して少しした夏。
みんなが汗をかきながらばたばた走り回る中でも、椅子は涼しそうに、定位置に佇んでいた。
笑っているか泣いているかはわからない。
けれど、表情のない、何も言いさえしないその姿にときめいた。
彼の足にはいつも、誰かの雑巾がかかっている。
真新しい白い雑巾。
それを見るとなんだか胸がくるしくなる。
私が雑巾を縫えたら、足にかけてくれるだろうか?
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