純愛小説
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教室に戻る頃、くうちゃんは優くんの席に消ゴムを戻していた。
くうちゃんは、なんだか満たされたような幸せそうな顔をしている。
「どうだった?」
聞くとくうちゃんが手帳を見せてきた。
「いいでしょ」
そこには、ページに張り付いた何かかたまりがある。
削ったあとのくずをまるめて、生徒手帳に挟んでいたのだ。
死んだら虚しくなっちゃうよなんて悲しいことを考えてしまって慌てて頭のなかから振り払う。
「よかったね」
密やかに祝福した。
それ、優くんの手で?
くうちゃんが?
それだけ、気にかかった。
今日は、彼のかけらを抱いて布団につくらしい。
私は自分の、筆箱を思い返した。大好きな鉛筆。2019年2月13日21:37
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