[携帯モード] [URL送信]

純愛小説
消ゴム




 机に恐る恐るおかれた消ゴム。顔を真っ赤にするくうちゃん。
野次馬が何だかんだでぞろぞろ見守っている。

「け、消ゴム、さん……ゆ、優君宅の消ゴムさん、あ、あの、そのぉ」

 うまく言えなくても、ちまっと机に置かれた消ゴムは静かに彼女を待っているようだった。
休憩時間に私は、受験生なら、あちこちから貰うだろう例のパンフを見ていた。請求すると図書カードがもらえたりもするから、興味なくても頼むのだ。
最近のパンフは、やけに重たい。特に私立。


 消ゴムは学校に行く。
けど、いつまでも、あの消ゴムが優君と寄り添うかは定かではないし、受験勉強で命尽きる場合もあり得た。


 図書室のソファは私たちの特等席。
春に近づきつつある窓際からは柔らかい日差し。 隣にいる、座命館志望の友達が、田中君も行くのかな、と聞いている。

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!