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純愛小説
2019.01.29.14:25

トロくてなにもわからない私にも、彼は優しかったし、きれいにファイルを纏めるのに親身になってくれた。
最初の頃は、何時間も付き合ってくれたものだった。
 彼は不思議なことに飲まず食わず、汗さえかかず、疲労すら滲ませない。まるで、旧時代のアイドルみたいだ。

「からかわないで、口開けてよっ」

私が言うと、彼は大人しく口を開いた。

ガッチャッン。
カチャン。

ガッチャッン。
カチャン。


ガッチャッン。
カチャン。


歌ってるみたいな、心地よい声。

「ありがと……」

彼の頭を何度も撫でた。

ガッチャッン。
カチャン。

ガッチャッン。
カチャン。


ガッチャッン。
カチャン。

「お。かな子、最初の頃よりうまく出来てる」

彼は私のプリントに、自分のことのように喜ぶ。
ガッチャッン。
カチャン。
ガッチャッン。
カチャン。
ガッチャッン。
カチャン。

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