純愛小説 ページ:1 みんなが部活に出掛ける中、そういえばファイルを綴じなきゃならなかったと思い出して、教室に戻る。 この瞬間は、緊張する。 「よっ、かな子」 彼は――朝読書用に置かれた本棚の上に座っていた。 彼は生まれつき手足がないから、手を振らない。 私の好きな人。 「かな子って呼ぶの、ここじゃ、やめて」 「やめてって言ったって、今二人だけだし。 あ、それがプリント?穴を開けてやろうか」 ガッチャッン。 カチャン。 彼は口を上下に動かしながら独特の笑い方をした。 先生は、配ったプリントをファイルに閉じさせ、それの束を宿題にする。 それは憂鬱なものだった。 ただ、彼がクラスで一人、紙にきれいに穴を開けるのを知ってから、たくさんの子が頼みに来る。その列のなかで、恋に落ちた。 [次へ#] |