フリリク(曄鏖sama)前編
「あれ、ローさんもう練習終わりっすか?」
「キャス、次からオレと組むぞ」
「なに言ってんですか。んなことしたらキッドさんに殺されます」
「‥‥オレの為に死んで?」
「てめェみたいのが強請ったって気持ち悪いだけだぜロー」
後輩との会話を中断させた人物の登場で、今まで人懐っこい表情を見せていたローはすぐさま仏頂面に。そのまま睨むようにして見上げた先には、ローとチームを組んで1年になるキッドが。
「あーあ、何でオレこんな奴と組んじまったんだろ」
「お前がどうしてもって頼み込ん出来たんだろうが」
「あの時はこんな奴だと思ってなかったし」
「あーもう良いわ、オレだけで練習すっから」
むすっと頬を膨れさせるローを残し、1人で練習を再開するキッドの実力は部でずば抜けていて、本来ならば後輩のローなどと組むはずのない立場である。だが入部初日から駄々をこねまくったローが部長のエースを根負けさせ、元々キッドと組んでいたキラーを外させたのだった。
「やっぱ上手いですよね‥思い切りが良いっていうか、パワフルっていうか」
「は、あんなの暴れてるだけじゃねーか」
「何言ってんすか。キッド先輩はあらゆるコンテストで優勝や入賞してる人ですよ」
キャスケットの言うことも事実なのだが、今のローにはそれを素直に認める大人げが欠けていた。誰が見てもローがキッドのダンスに見惚れていることなどわかるというのに。
「っし、邪魔してくっか」
「喧嘩しない程度にしてくださいよー」
これが、次のコンテスト3日前の話である。
+−+−
続きます、よー!←
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