フリリク(杏sama) 「あっ、花井!もーどこ行ってたのさ!」 「ん?何だよ水谷」 「阿部がひどいんだよ!花井からも何か言ってやってよ!」 阿部って花井の言うことなら聞くんだから、と水谷が喚く。頼まれてしまった花井は、この騒ぎの元へ向かった。やっと黙った我らがレフトの視線を感じながら。 「‥‥阿部」 「なに花井?」 「また水谷イジめたのか」 「ちょっと遊んだだけだろ」 「ほどほどにしとけよな、うるさいから」 「‥わかってるよ‥‥」 大人しくなった阿部が頷く。一件落着、そう思った時、水谷が待ったをかけた。ちょっとちょっと花井!とまた騒ぎ出す。 「台詞でごまかされると思わないでよ!そうやって甘やかすから阿部が反省しないんじゃん!」 水谷が何を気に食わないといっているのか、というと。 初めに声を掛けた時から、花井は阿部を膝の上に乗せていた。そのまま頭や背中を撫でながら今に至る。阿部はと言うと、花井の膝に跨がり正面から抱き着いていた。これでは説教でも何でもない。水谷は騒ぎ続ける。 「何だ、まだ納得できないのか」 「おい水谷、花井困ってんだろ。面倒かけんなよ」 「何でオレなのさ?!原因は阿部じゃんか!」 そう水谷が言うと、強気だった阿部は打って変わってしゅんとなった。目を潤ませ花井を見つめ、見つめられた本人は驚いて目を丸くしている。 「オレのせいだって‥‥ごめん、はない‥‥」 「謝んなくて大丈夫だよ。水谷、少し言い過ぎだ。何も泣かすことないだろ」 「‥もう良いよ‥オレが悪いんでしょ‥‥」 はあ、と溜息を吐いて、水谷が項垂れた。 放課後、部活前の部室。 「な、花井‥‥」 「どうした?」 「いや、その‥‥」 言いにくそうにしている阿部の手にアンダーが握られているのに気付いて、花井がああ、と納得の声を上げ頷いた。そして部室内を見渡す。自分含めほとんどは着替えを済ませているようだった。 「‥‥お前ら、30秒以内に着替えて部室から出ろ」 「はーい‥‥ってええ?!」 「何だよ、阿部の着替え見るなんてオレが許すはずないだろが」 「そんなあ‥‥」 「あ、これ部長命令な。いーち、にー、さーん‥‥」 「誰かこいつら止めてくれ!」 確実に数え上げていく花井の後ろに阿部が隠れている。自分の為に暴挙に出た花井を見て満足そうだった。あと20秒。 ちょうど着替え終わった三橋を連れて田島が出て行った。泉や栄口は動じずマイペースで、しかし制限時間内に去る。慣れたことだ。 ずいぶん前に避難し終わっていた水谷は、そんな部員たちの様子を見て、再び深く深く溜息を吐くのであった。 +−+− フリリクの花阿でラブラブ&ギャグでした。 ギャグなってますかね‥‥?← リクありがとうございました! [Back][Next] [戻る] |