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二人の間、零距離にて



翌朝になると阿部の機嫌はすっかり戻っていて、ついでに朝食まで用意してもらっていて驚きまくった。

意外と料理上手いんだな、なんて思いながら食べて、出勤の準備を始める。

阿部は黙ってテレビを見ていた。





















「なあ」
「‥‥何?」
「どうして大学、辞めたんだ?」
「‥あんな親の金で勉強したくねーから」
「それだけ?」
「うん。あ、ネクタイ締めてやろうか」
「ん、よろしく」


妙にあっさり終わってしまった会話に苦笑する。本人があまり気にしていない様なので俺も気にしないことにした。





「じゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」


見送られる違和感に笑って玄関を出る。ちょっと、帰るのが楽しみになったな、なんて思いながら。

















「ヤベ、もう6時半だよ‥‥」


残業していて、一人暮らしにすっかり慣れてしまっていた俺は阿部に連絡を入れるのを忘れてしまった。


焦る気持ちを抑えながら安全運転でアパートまで来ると、走ってドアまで行ってノブを回す。鍵は開いていた。





「おかえり花井!」
「阿部、開けっぱにしてたら危ねーだ、わっ!」


抱き着く、というかダッシュで突っ込まれて、後頭部を今閉めたばかりのドアにぶつける。痛みで少し涙が滲んだ。



「なに、阿部」
「寂しかった‥‥」
「‥‥ごめん」


俺の胸元に顔を埋めて、ぎゅうっと抱き締めてくる阿部を抱き締め返すと、顔を上げたので目が合った。


にっこり微笑む阿部に、少しドキッとして。
























「結婚しよ、花井」





その台詞に、しばし脳がフリーズする。


何でお前はそう、いつも唐突なんだ。




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