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短編置き場?
つぐみと兼人
「おじゃましまーす」
「いらっしゃい。 兼人なら部屋にいるよ」

玄関から中にはいるのは小柄で小さな少女。
わかりやすくいうなら身長138cmの少女である。
一目見て小学生と勘違いされてもおかしくはない身長だ。
そんな彼女の名前は雨宮つぐみという。
つぐみを出迎えたのは父親である平川霧人さん。
激辛の血縁はこの人から受け継がれたといってもいいとつぐみは思っていたりする。
彼女が料理してもすきあらばその料理を辛くするのでこの親子にほとほとまいっているのだ。

「もう、また散らかしてる! この前ちゃんと掃除したのに!」
「う、悪かったな!!」

階段をのぼって目的の人物がいる部屋をノックすると声が帰ってきてあけるつぐみ。
そこにはちら借り放題の部屋と143cmしかない身長の少年がいた。
そして、勉強を教える為に彼の部屋に入って出た第一声がこれになってしまった。
彼の名前は平川兼人といい、つぐみの近所の幼馴染である。
身長の差のライバルといってもいいほど幼い頃は喧嘩をしていた。
まあ、それを止めるのはもっかのところ兄貴分である龍星であったが。

「ちょっと兼人、反省してるの!?」
「あー、してるしてる」

腰に手を当てて怒ってますというポーズをするつぐみ。
投げやりな態度でそう返す彼の態度も相変わらずである。

「あ!二回続けて言ったね! 実際は反省してないんでしょ!?」
「はぁ?なんでそうなるんだよ!!?」

兼人の態度を見てつぐみがそう言うと振り向いて問い返す。

「『人は本当の事は一度しか言わない』ってお兄ちゃんが言ってたよ!!」
「なんつーことを教えてんだよ、兄貴は!」

つぐみが腰に手を当てたままそう言うと頭を抱える兼人。
ちなみにお兄ちゃんとは龍星のことで兼人にとって兄貴とは龍星のことである。

「そんなことはどうでもいいから部屋を片付けなさいよね!」
「うっせぇな、小姑かよお前は! ぶちぶち言いやがってよ」

たしなめるように言うつぐみに辟易した様子で言う兼人。

「小姑って、失礼ね! 兼人がきちんと掃除しないからうるさくいうしかないんでしょ!
おばさんだってきちんと掃除しろってうるさく言ってるのに聞かないって言ってたよ!」
「うっせーうっせー! 小学生並みのくせに小姑みたく言ってるんじゃねーよ」

つぐみの抗議する声に対しても彼は変わらずにそう言った。

「わたしそんなにちっちゃくないよ!? これでも高校生なんだからね! 兼人とたったの3cmしか変わらないし!」
「3cm分ほど、俺の方が高いし! 幼い頃からの決着がここでいついたなチビ!」

つぐみは怒ったように言うと兼人はふんぞりとしながらそう言った。

「ち、チビって! よりにもよってそれをあたしに言うの!? なによ、チビなのは兼人だって同じじゃない! 男子の背の並び順ではいつも先頭だし!」
「て、てめぇ! それをいうならつぐみだって女子の背の並び順はいつも先頭だろうが!」

にらみ合いながら喧嘩がヒートアップするつぐみと兼人。
幼いこから背の測り合いでの喧嘩はよくあった二人。
この二人の中では身長によるライバルという構図が広がっていた。
傍から見たら不毛なライバルに不毛な喧嘩でしかないが、これがいつもの日常ともいえるだろう。

「ふむ、どんぐりの背比べだな」

そう言ったのは兼人の父である霧人であった。
兼人の父親だけど背は高く、その血をひいているのにもかかわらず彼の背は低いのだ。
遺伝的なのかそれともなにか理由があるのかは不明である。
彼の手には超煉獄激辛麻婆豆腐があり、それを食べながらリビングにいる。

「どうしてあの子達はああも喧嘩になるのかしら」

平川頼子はため息をもらしてつぶやいた。
どうやら彼女は朝食を食べた洗い物をしているようである

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