短編置き場? 体育祭? 「棒倒し……」 「棒倒しは男子が主にするんだったよね」 「女子ハなイんデすカ?」 三人の少女達は机を向き合わせて体育祭のプログラムを見てなにやら会話していた。 「ほかには仮装リレーがあるみたいだね……。 走るの苦手だけど」 「つ、つぐみちゃん、落ち込みすぎだよ」 「ワたシもソれホど得意ジャなイでスね〜。 途中デこケちゃウかモでス☆」 憂鬱そうな声で言うのは小柄で低身長の少女……雨宮つぐみ。 そんな彼女を宥めるのは親友の涼宮みなも。 ぽへ〜と気にしたようすもないどこかゆるい空気の持ち主……星井明香。 「明ちゃん……、みなもちゃんもだけど、スカートでこけるのは気を付けようね?」 「は、はい! は、恥ずかしいですからね!」 「ふえ?」 コケルという言葉を聞いたつぐみがそう言うと直立不動になりながら言うみなもに対し、 明香は不思議そうに首をかしげていた。 この態度に溜息をもらすつぐみとみなも。 本人はいつも密着を気にしていなさそうだから苦労が絶えないのは友達であるつぐみとみなもだろう。 「まあ、明ちゃんの場合は注意するとして……」 「借り物競走もあるんだね。 あ、二人三脚もあるよ!」 「玉いレはナいンでスか?」 再びプログラムに視線を向け、みなもはそれぞれを指を指す。 その内容を静かに聞いていた明香がぽつりとつぶやいた。 一瞬沈黙が教室内に満ちる。 「な、ないんじゃないかな」 「そ、そうだよね。 いくらなんでも、それは……」 「ソーなンでスか。 残念でス」 苦笑いを浮かべて明香を見るつぐみとみなも。 明香はしょんぼりと寂しそうな表情で言った。 さながら子犬が遊んでもらえなかったような様子に見える。 「……ざ、罪悪感が」 「た、耐えましょうよ。 つぐみちゃん」 胸を抑えるつぐみにみなもは耐えながら話しかける。 「トこロで、二人ハどレにデるンでスか?」 「え、えーと……。 私はなんでか……仮装にいれられてた」 「え、つぐみちゃんも!?」 そんな二人を不思議そうに見ていた明香が話を振る。 つぐみは目を泳がせながらそう言うとみなもが驚いた顔をして見つめる。 「ワ! みンな一緒なンでスね♪」 「「あ、明ちゃんも……なんだね」」 にこにこと嬉しそうな明香を見て苦笑いするつぐみとみなも。 「お前ら、なにやってんだ?」 「あ、秋月くん」 不思議そうな表情で歩いてきた少年に振り向いたのはつぐみだ。 「えっと、体育祭の種目について雑談してたんでひゅ……はう」 「ソれデ、仮装リレーがワたシ達三人一緒なンでスよ〜♪」 説明していたが舌を噛んで涙目のみなもの隣でにこにこ笑顔で話す明香。 「三人ともか……、なんというか。 なにかの策略がありそうなチームだな」 「やっぱり、そう思うよね」 「でも、今更変えられないですよね」 愁夜の言葉につぐみは予想通りの様子で言いながら、みなもは涙目で座っている。 [*前へ][次へ#] |