新バカとテストと召喚獣R!
第2問
猛ダッシュで学園に向かっている2つの人影。
ひとりは小柄で低身長の少女とおなじく低身長の少年。
少年はSで少女SSくらいだろう。
「も、もうっ!!ち、遅刻したら、か、兼人の、せ、せいだからね!!」
「うっせー! なんであれがいけないんだよ!」
「いけないのはいけないの!」
「あれじゃ、まだ甘いだよ!」
「あれで!?」
「そうだよ」
あの後から、幼なじみの家に来た少女――雨宮つぐみ。
ちなみに幼なじみの名前は|平川《ひらかわ》|兼人《かねと》。
だが、起こした後の騒動のことで大騒ぎになったのだ。
まあ、それをみて吹き出したのは悪くないと思う。
それのせいで時間がぎりぎりとなり、慌てて家をでることになった。
「いい加減にしてよね! 料理が変な味になっちゃうでしょ!」
「だが断る!」
走りながら嘆くつぐみは息切れしながらつぶやくと兼人は即答。
そんなこんなで学園の校門がようやく見えてきたが、つぐみは青息吐息だ。
小柄な上に、運動が苦手で体力がないため、すでに限界だったのだ。
「ひぃ……はぁ……もう、……ダメ〜〜っ」
目を回しながらへたり込む。
「あた、しは、すこ、し、やす、んでから、行く、から、兼人は、先に……」
そう言いながら、木陰に這いずろうとするが、
「なに、馬鹿なこと言ってんだ!」
と、兼人は叫んだ。
「で、でも……」
「俺が遅刻するのは自業自得だけど、マジメなつぐみがそれに巻き込まれるなんてダメだ!」
珍しく真面目な表情の兼人に、つぐみは呆けたが、すぐに眉根を寄せると、
「いや、今の状況は全部兼人のせいなんだけどね?」
と半目で見つめながらツッコむつぐみん。
「うぐ。と、とにかく!!」
言葉に詰まりながらも、つぐみをお姫様だっこするようにする。
「わ、ちょ! 兼人!?」
「暴れるなよ!ちょっとのことで落ちそうだからな!」
慌てるつぐみをしりめに兼人は走る。
それから暫くして校門の前に到着した。
そこには一人の人影があることにつぐみ達は気づいた。
「遅刻だぞ、平川、雨宮」
浅黒い肌に、スーツ姿だが、その内に詰め込まれた、針金の束ねたかような筋肉質の肉体は隠しきれない。
「おはよっす、スネーク先生」
「ちょっと! お、おはようございます! 西村先生」
彼は文月学園が誇る、鋼鉄の生活指導担当教師、西村教諭である。
そんな彼を見てフレンドリーに話かける兼人とそれを注意して挨拶をするつぐみ。
「平川、俺はどこぞのダンボールをかぶって潜入などせんぞ。 きちんと西村先生とよばんか!」
「いっでぇ〜〜!!?」
そう言いながら西村教諭は兼人の頭の上にげんこつを振り下ろしていた。
それに痛みの呻きをあげる二人。
でっかいたんこぶができあがっているが自業自得であろう。
この間につぐみは手を離す。
「西村先生。 あたし達のクラス分けはどうなっているんでしょうか?」
「ああ、そうだったな」
つぐみが近寄って聞くと彼は箱から二通の封筒を取り出して、二人に手渡す。
「雨宮、今回は残念だったな。理由はあれどルールはルールだからな」
「まあ、仕方ないですね」
つぐみは、封筒を受け取りながら苦笑いした。
「たがな、雨宮」
「はい?」
「俺個人としては立派だったと思っているぞ?」
言われてつぐみは頬を赤くする。
「ざんねんだったな、つぐみ? お前の成績ならCクラスはカタかったんじゃないか?」
兼人が封筒を受け取りながらつぐみに声をかけている。
と、鉄人が遠い目をしながら兼人に話しかけた。
「平川……今だから言うが、俺は今まで、
お前らはもしかしたら吉井と上狼と須川ほどのバカなんじゃあないかと疑っていたんだ……」
「スネーク、それは失礼だろ。 俺と明久と秀久と亮を比べるなんて愚の骨頂だぞ!」
兼人は受け取った封筒をきれいに開けようとして悪戦苦闘しながら答える。
「まったくだ。こんな勘違いを起こすなぞ、俺の目は節穴だったとしか思えん」
そう言って、鉄人は深くため息をついた。
「じゃあ、あだ名は節穴で決定だな」
結局、きれいに開けることを断念した兼人は、端をビリビリと破り出す。
「……平川、お前への疑いは無くなった」
そして、中から折り畳まれた紙を取り出すとそれを開いて中を確認する。
つぐみはそれをそぉっと後ろから覗いた。
『平川兼人……Fクラス』
『雨宮つぐみ……Fクラス』
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