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新・バカ達とちみっこ達と赤姫
第68問 強化合宿 大乱闘!?
問題(国語)
()内の『私』がなぜこのような痛みを感じたのか答えなさい。

父が沈痛の面持ちで私に告げた『彼は今朝早くに出て行った。もう忘れなさい』その話を聞いた時、(私は身を引き裂かれるような痛みを感じた)彼の事は何とも思っていなかった。彼がどうなろうとも知った事ではなかった。私と彼は何の関係もない。そう思っていたはずなのに、どうしてこんなにも気持ちが揺れるのだろう。



〔姫路瑞希の答え〕
『私にとって彼は自分の半身のように大切な存在であったから』


〔教師のコメント〕
そうですね。自分の半身の様に大切であった為、いなくなったことで『私』はまさに身を引き裂かれたかのような痛みを感じたという事です



〔吉井明久の答え〕
『私にとって彼は自分の下半身の様に大切な存在だったから』


〔教師のコメント〕
どうして下半身に限定するのですか



〔土屋康太の答え〕
『私にとって彼は下半身の存在だったから』


〔教師のコメント〕
その認識はあんまりだと思います


〔上狼秀久の答え〕
「私にとって彼は双子のようにおっきい存在だから」


〔教師のコメント〕
その言い回しは素敵ですね。



「翔子」

「……隠し事なんてしていない」

「まだ何も言っていないぞ?」

「……誘導尋問は卑怯」

「今度、誘導尋問の意味を辞書で調べて来い。んで、今背中に隠した物はなんだ?」

「……別に何も」

「翔子、手をつなごう」

「うん」

「よっと……ふむ、MP3プレーヤーか」

「……雄二、酷い……」

「機械オンチのお前がどうしてこんなものを……。何が入ってるんだ?」

「……普通の音楽」


――ピッ

《優勝したら結婚しよう。愛している。翔子》


「…………」

「……普通の音楽」

「これは削除して明日返すからな」

「……まだお父さんに聞かせてないのに酷い……。手もつないでくれないし……」

「お父さんってキサマ――これをネタに俺を脅迫する気か?」

「……そうじゃない。お父さんに聞かせて結婚の話を進めてもらうだけ」

「翔子病院に行こう。今ならまだ2、3発シバいてもらえば治るかもしれない」

「……子供はまだできてないと思う」

「行くのは精神科だ!――ん?ポケットにも何か隠してないか?」

「……これは大したものじゃない」

「え〜、なになに!『私と雄二の子供の名前リスト』か。……ちょっと待てやコラ」

「……お勧めは、最後に書いてある私たちの名前を組み合わせたやつ」

「『しょうこ』と『ゆうじ』で『しょうゆ』か。……なぜそこを組み合わせるんだ」

「……きっと味のある子に育つと思う」

「俺には捻くれ者に育つ未来しか見えない」

「……ちなみに、男の子だったら『こしょう』が良い」

「『しょうゆ』って女の名前だったのか……」

〜〜〜☆〜〜〜

「ずいぶん早く着いちゃったね?」
「今朝は全体的に早かったからね」

そう言いながら卓袱台に荷物を置く和明とひばり。
清涼祭のおかげで人数分は無理だったからいささか揃えることができた。
ウェイトレスの人気アンケートのおかげもあり、床置きの空調が備え付けられた。
まあ、古い卓袱台や座布団ではなく新品の物に替えられたので文句の声はない。

「ん?今朝は早いな和明」

その声が聞こえたのに振り向くひばりと和明。
今朝も不憫があったのか絆創膏が絶えない姿の秀久。

「おはようシュウ。なんか早く目が覚めちゃってね」
「おはよう、上狼くん。今朝はみんな早めに動いちゃってね」

にこやかに挨拶する和明とひばり。

「おはよう。明日からの強化合宿で浮かれてるのか?」

卓袱台に荷物を置きながらニヤリと笑う秀久に

「あはは。そうかもしれないね」

と楽しそうに笑う和明。

「おはようじゃ、3人とも」

そこへ秀吉が笑顔で話しかけると

「「「おはよう!」」」

ひばり・和明・秀久の3人は振り向いて答える。

「うむ、おはようなのじゃ。学力強化が目的とは言え、また皆で泊まりがけなのじゃ。
 楽しみになるのは仕方がないじゃろうな。
 むろん、わしとて心が躍っておるしの」

と楽しそうに笑う秀吉は卓袱台に荷物を置く。

「もう、浮かれすぎじゃないの? 3人とも」

と軽く注意するひばりも楽しげで、合宿が彼女も楽しみなのだろう。
そんな朝の会話をしながら荷物をロッカーにいれる4人。
カサ、と手の先に何かが触れる感触がした。

「ん?何だ?」

秀久はそう言ってとりだして見ると手紙らしきものが入っていた。

≪ 上狼秀久様へ ≫

宛て名の欄に秀久の名前が書いてある

「っ!!」

息がつまる秀久と同様に和明の表情も変化していた。
どうやら2人とも同じ反応のようだ。

「どうしたの? カズくん。あれ? 手紙?」

ひばりの声が聞こえてくることから和明も手紙をもらったのだろう。

「ん?どうしたのじゃ秀久に和明?」

様子の変化に気づいた秀吉が声をかける。
その声に深呼吸を繰り返す2人は振り向いて。

「ドウシタヒデヨシ?」
「Quoi de neuf?  Ce n'est pas grave (どうしたの? 何も問題ないよ。)」

2人はごまかす気のようだ。

「異常事態じゃな」
「あ、あはは」

秀吉の言葉にひばりが苦笑を浮かべる。

「さ、流石は秀吉・・・僕の完璧な演技を一瞬で見破るなんて・・・・・・」
「さすが秀吉だ、演劇部は伊達じゃないな……」

そう話す秀久と和明を見て。

「いや、演技以前に言語の問題なのじゃが・・・・・・」
「そうだね。もろばれというか……」

秀吉とひばりは呆れた表情を見せている。

「と、とにかく大したことじゃないから、見なかった事にしてくれないか?」

秀久と和明は秀吉の肩を軽く掴んでお願いする。

「ふ、2人がそういうのであれば深くは問わんが・・・・・・」

秀吉は疑いの表情を浮かべるものの、この場は引いてくれた。

「ありがとう助かるよ! それじゃっ!」

「すまんな秀吉!じゃあな!」

秀久達は見えないように手紙を懐にしまい、ダッシュで教室を後にした。
尾行の気配を気にしながら向かう2人は警戒心が強いからだろう。

「もしかすると、俺にもいよいよ春が・・・・・・!」

はやる気持ちを抑え、早足で階段を昇る。

「よいしょっ――と」

屋上へと続く重い鉄扉を押し開くと、
その向こうには澄み渡る青空が広がっていた。

「これ、誰がくれたんだろうか?」

強い日差しから逃れるように涼しげな日陰に腰をおろし、懐から手紙を取り出した
差出人の名前は封筒には書かれていない。
一体どんな子が、どんな想いを込めて自分にこの手紙を送ってくれたのだろうか。
ゆっくりと手紙の封に手をかける。
緊張しているせいか、中身を取り出すのに少しだけ手間取ってしまう。

そして、手紙の内容を見ると――

≪あなたの秘密を握っています≫……和明

≪あなたの秘密を握り、天罰を下します≫……秀久

2人を脅かす脅迫文だった

「「最悪じゃーーーーーっっ!!」」

秀久と和明の声が揃う。


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