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魔法戦記リリカルなのはForce鋼鉄の騎士
第四十五話
特務六課 ミッドチルダ地上隊舎。

「ヴァンデイン・コーポレーション。第4工場襲撃ーー」
「『犯人の素性・目的不明』が現時点での公式発表ですが、
フッケバインの仕業とみて間違いないかと」

そこにははやてとリィンとティアナとウェンディとユウヤがいた。
報告しに来ていたのだろう。

「それから実はーー」

ティアナがそう言うと、はやて達の目の前に薄型ディスプレイが浮かび上がる。

『ハァイ、善良なる管理局のみなさ〜ん♪
ひとつ忠告しておくよ。この件であたしらを追っかけちゃダーメ』

カレンの言葉を黙って聞いてるはやて達。

『うちらは世間的には犯罪集団だけど、今回についてはどっちかっていうと
世直しの活動をする。こんな風に善人面した極悪人や手先をやっつけて回るだけ、
無駄な抵抗をされると局員や民間人の被害者が出るだけだしーー。
エクリプス感染者を増やしたり感染者による二次被害を広めたりしたくないでしょう?
だからいいこで見ないふり……または[頑張ったけどちょっと出遅れたフリ]
じゃあ、頼んだよ。フッケバイン首領。カレン・フッケバインより』

映像には倒れている人がいた。
カレンがそう話すと映像は消えた。

「……こんな映像が届けられました」
「……そう」

ティアナの報告にはやてはそれだけを言う。

「映像が送られたのは我々特務六課と本局の二箇所です」
「幸い民間にはまだ公開されていません」

ティアナとユウヤがはやてに報告する。

「それから……ウェンディ」
「あ、はいっス」

ティアナがウェンディに声をかけると彼女は頷いて、隊服の胸ポケットからなにかを探す。

「フッケバインの一味からトーマからの[預かり物]だってーー」

ウェンディはそう言いながら取り出したのは。

『その……どうも』

ちょいと気まずそうに挨拶をするスティード。
それを見て不思議そうな顔をするはやて。
リィンは驚いている様子だった。

「スティードって言うんス」
「スバルさんがプレゼントしたトーマのデバイスでフッケバインに持ってかれてて」
『恥ずかしながら帰って参りました』

ウェンディとユウヤが説明している最中にスティードも話す。

「彼は襲撃現場に連れ出されていたそうでーー」
「それからフッケバイン一味からの伝言があるんだよな?」
『はい』

ティアナが説明し、ユウヤがスティードに問いかける。
スティードは肯定すると。

『彼女の音声を録音したものを再生します』

スティードはそう言うと再生する。

『フッケバイン首領から特務のお嬢ちゃんへ。貸しはふたつめだからね、
くれぐれも恩義に感じるように』

カレンの音声にはやては目を細める。

「この伝言ほかには?」

はあと息を付きながら尋ねるはやて。

『ランスター執務官とウェンディ執務官補とユウヤ執務官補。
あとはお二人だけです』
「そう」

スティードの説明を聞いてはやてはつぶやいた。
心配そうにはやてを見つめるティアナ。

「いっこめのほうはともかくふたつめの押し貸しは受け取れへんなぁ
ランスター執務官。この音声を本局査察部と特務本部に転送。
私の「借り」の件も含めて審議や査察が発生するやろうけどーー
まあ、なんとか会議室で喧々してくる3人は捜査を継続して」
「はいーーー」

はやての言葉に頷くティアナ。

「ああ、スティードは私と来てもらうことになると思うけどーー」
『はい』

はやてがスティードを見るとスティードは頷いた。

「トーマとは?」
『いえ、まだです』

問いかけるとすぐにスティードは応えた。

「なら、呼び出しがあるまでトーマのところへ。3人とも報告おおきに、もうえェよ」
『はいっ』

そうスティードに話をしてからウェンディとティアナとユウヤを見る。
3人は姿勢を正して応えた。
そしてそのまま退室する。

「えーと。今の話どういうことっスか?」
「特務が犯罪者集団と『内々の貸し借りがある』なんてことを大々的に公開されたら」
「たとえ嘘でも隊長の立場が面倒なことになるでしょう」

ウェンディの問いにユウヤとティアナが歩きながら話す。

「ただでさえ、ひとつめの借り。ソウガやアヤトに助けてもらって生存した件や。
その後の首領の離脱は不審に思われてもおかしくない」
「おおっぴらに問題にされたら説明がものすごく面倒なことになるな。
フッケバインやエクリプスだけじゃなくて監査や査察とも戦わなきゃいけなくなる」
「なるほど」

ティアナとユウヤの説明にウェンディは納得する。

「あれ? なのにうちの大将は自分から言っちゃうことにした?」
「そう犯罪者集団に借りを作る気はないってことーー」
「自信があるんだろうな。 真実を隠すことなく筋を通して部隊を動かし続ける
手練手管に」

そんなことを歩きながら3人は会話をしていた。

「しかしうちら正義の味方は手続きも段取りも面倒くせェっすねェ。
ちびたぬ隊長、尊敬するっス」
「そういうもんよ」
「ウェンディ。その妙な愛称は本人の前ではくれぐれも言わないように。
失礼だし、ティアナさんが怒られるからな」

ウェンディの言葉にユウヤが注意する。

「うい、了解っス」

笑顔で返事を返すウェンディ。

【そう、法を執行するのは正直いえば、実に複雑で厄介だ。
だけど執行組織は法や正義に盲目になってはいけない。
[疑うことなき正義の法のもとに罪は裁くべき]という組織は理想に見えるがとても危うい。
望まれてそんな組織を作った結果。暴虐と弾圧の歴史を作ってしまった国や世界は
いくつもあるのだから】

「あ、そういえばティアナの新装備はいつ仕上がりっスか?」
「来週じゃなかったけ?」
「そうなの、いろんな意味でギリギリな武装だから審査も厳しいのよね」

ティアナにウェンディが話しかけ、ユウヤが思い出したように呟き。
ティアナは同意しながら苦笑を浮かべる。

「まあ、見た目的にはまんま保有禁止兵器ッスからねえ」
「カノンやハンマーと同じで特例基準に収まるように仕上げてもらってるんだよな」
「えェ。とはいえ魔導殺し相手には通常装備じゃ手も足も出ないわけで、
ここはなんとか審査を通してもらわないと」

歩きながらティアナとウェンディとユウヤは会話する。
そうなのだ、彼女らはギリギリの境界線を歩いているのだ。

「あ、トーマ達とスバルっす」

外を見てウェンディがつぶやいた。
それに気づいてティアナとユウヤも視線を向ける。
この光景を見てそれでも市民の命と財産を守っていかないといけない。

「ノーヴェも来てるんだな」
「うん、そうだね」

ユウヤが言うとティアナも同意する。
出会って救えた命の価値がティアナ達の道を照らしてくれる。
笑い合うトーマ達を仲良く眺めるティアナ達。


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あきゅろす。
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