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魔法戦記リリカルなのはForce鋼鉄の騎士
第四十四話
[エクリプスウィルス]の出自は未だに明らかになっていない。
感染後 短期期間のうちに宿主の人体を作り変え、超人的身体能力を。
与えるのと引き換えに人格や人間的な知覚能力を奪い、殺害・破壊衝動を発生させる。
しかしエクリプスの感染源にして制御端末でもある[リアクター]は、
人の手によって生み出されている。リアクターを制作した[何者か]のうちーー。

「[シュトロゼック]の作者がお宅らヴァンデイン・コーポーレーション。
その責任者が第八企画室の室長であるあなた。
いろいろ教えてもらいたくてちょっと押しかけちゃいました♪」

黒いスーツにメガネをかけたカレンが目の前にいる目隠しをされた年配のある男性に言う。
手にはレイピアぽい物が握られていた。

〜〜〜☆〜〜〜〜
カレンがそんなことしている間にフッケバインのメンバーは……。

「ヴェイ。そっちは片付いたか?」

作業服を身に包んだドゥビルがヴェイロンに通信で問いかける。
ところどころの景色に破壊の後が垣間見える。

『ああ、退路も確保した。しかし、変装してきた意味がまるでなかったな。
結局いつものカチコミだ』

駐車場にいるヴェイロンはディバイダーを手に肩に乗せながら話す。
堅苦しそうにネクタイのいじる姿はカッコイイといえるだろう。
再び場面を戻すと……。

「まあ無理もない、えらく厳重な警戒だったからな」

ディバイダーを手にドゥビルはそう答えつつ、歩き出す。

「まあ警報と通報システムは殺してあります。少なくともあと2時間は、
誰も異常には気づきませんよ」

とある場所にいるフォルティスはキーボードを滑るようになめらかに操作しながら話す。
どうやらどこかのシステムのある場所らしい。
こちらは黒いスーツにネクタイをきちんとしているようだ。

「アル、レプリカディバイダーの方はどうです?」

別の場所にいる仲間であるアルナージに問いかけるフォルティス。
ところ変わってアルナージの方では、燃えているディバイダーの本がわんさかあった。

「おう、いま始末してるよ」

黒いスーツを着てサングラスを頭に乗せているアルナージは答える。

「銃剣型のディバイダーもどきに本型のリアクターもどき。
この部屋だけで200は下らねぇ、まったくどんだけ作ってたんだよ?」

アルナージは周囲を見渡しながら話す。
かなり呆れているようだ。

〜〜〜☆☆〜〜〜〜
一方サイファーらの方では……。
複数の培養液につつまれた脳のような物が浮いてる場所にいた。

「感染実験もしてたんだねぇ……、感染サンプルが沢山ある」
『これは……』

ステラが驚いた様子で呟き、スティードは目の前の光景に呆然としていた。
それはサイファーも同じようだ。
ちなみにスティードはステラの首元にチョーカーのようについていた。

『以前、私とトーマが見たものと同じです』
「うん、実験体の成れの果てだよ」

ステラから離れてスティードがそう言うとステラは頷いた。

「一歩間違えれば、我々もこんな姿になっていたかもしれん」

サイファーは目の前にある筒を軽く拳の裏で叩いた。

〜〜〜〜☆〜〜〜
再び視点を変えて、カレンの方に戻る。

「質問そのいち。 ディバイダーやリアクターを作るのはまあいいとしてーー。
あたしらを語ってデタラメな仕事をして何を企んでる?」
「そ、そんなーー」

カレンはレイピアを男性に向けて尋ねると男性は怯えていた。

「回答は5秒以内。 嘘は通用しないからそのつもりで」

カレンが冷たい瞳を向けて告げる。
そんなやりとりをしている頃、サイファー達は駐車場に来ていた。

「鉱山事故って……トーマが言ってた?」
「ああ、あのチビガキを残して鉱山町が全滅したっていう件だ」

ステラの問いにヴェイロンが頷いて話す。

「チビガキが心当たりとして探したってのが[本と銃剣の二人組]。
俺と姉貴が揃えばそんな二人組になるが。俺も姉貴もそんなちゃっちゃい、
鉱山町の破壊なんぞした覚えがねぇからな」
「トーマもつくづく我々と縁深いな。局に返すべきではなかったかもしれんな」

ヴェイロンの説明を聞いてサイファーは目を閉じて考えながら言う。

「その二人組とその背後組織、そいつらはおそらくEC計画そのものに深く関わってるーー」

ヴェイロンは確信したようにつぶやいた。


「はァい♪ 二者面談終わったよ〜」

笑顔で歩いてくるカレンはメガネで遊びながら話しかける。

「偽物が活動してるいま現在の居場所と数がわかったよ」

カレンの言葉にヴェイロン達がざわつく。

「数?やはりひと組ではないのか?」
「うん」

メガネを受け取りながら問いかけるサイファー。
カレンは笑顔で頷いた。

「稼働中のが四組いる。面倒なことにいろんな世界に広がっているんだよね。
ここの襲撃が判明したら特務もまた動き出すだろうしーー」

カレンはメンバーに話しながら後ろを向く。
それをサイファー達は黙って聞いているようだ。

「大丈夫だって、姉さん!出てきたらブチのめすだけだけだから!」
「その気持ちだけで嬉しいよ」

カレンに話しかけるカイトに彼女はくすくすと笑いながら頭を撫でた。
子供扱いされたことで不服になっている。

「とはいえ面倒な相手ではある」

サイファーはこれからのことを考えてつぶやいた。

「まあ、ここはひとつ。 旅行中の子達と親戚一同を呼び集めるとしますか」

ウィンクしながら楽しそうに笑うカレン。

「首領で姉貴のお願いだもん。みんな快く聞いてくれるよねー」

笑顔で歩き出すカレンに続いてステラも歩く。

「まあ嫌とは言わねーだろうけど」
「面倒くさい連中が集まることになるな」

アルナージとサイファーはそれぞれつぶやいた。

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