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魔法戦記リリカルなのはForce鋼鉄の騎士
第四十三話
と、その様子をスバルがこそっと見ていた。
その様子はとても心配そうに見えた。
トーマは苦笑を見せながら手をあげるとスバルはふにゃりと笑みを浮かべる。
トーマの姿を見て安心したのだろう。

「リリィもだけど、そちらの子達も早く目を覚ますといいんだけど」
「ああ、うん……」

アイシスが言うとトーマはうなずいた。

「どうなんだ、シャマル先生」
「そうね。EC因子保有者とリアクターの関係は私達もまだ把握しきれてないの。
ただ、なるべく距離をおかずにいた方がいいのはたしか。
トーマくんはなるべくリリィちゃんのそばにいてあげてね?
リュウセイもソウガくんもアヤトくんもね」

リュウセイの問いにシャマルは振り向いて言い、トーマに告げる。
リリィは担架で運ばれていく。

「はい。それはもちろん」
「あたしも一緒に居てもいいんですよね?
あたしがきっと二人を守ります!」

トーマは頷いて答え、アイシスはトーマを引き寄せてシャマルに言う。

「アイシスはそういう配置にできるようにってうちのエースが頼んでるよ」
「エース……? あの白いロングスカートの人ですか?」

リュウセイの言葉にアイシスが尋ねる。

「そっちじゃなくて『スゥちゃん』の方ですよ。
アイシスさんはトーマを友達として真剣に思ってくれてるから、
いっしょにいさせてあげたいんだそうですよ」

ソウガがにこにこ笑顔で告げる。
それを聞いたアイシスは汗を浮かべるが。

「いいですよ!頑張りますよ!公僕見習いでも下っ端でもなんでもやりますとも!」

逆ギレぽい感じでアイシスは宣言する。

〜〜〜〜☆〜〜〜

一方どこかの部屋にて、ヴィータとなのはが居た。

「見習い起用ねェ……。また不安な8人組ですね、リュウセイは前のことがあるからいいけど」

プロフィールを見ながら彼女はつぶやいた。

「トーマは航空剣士としても砲撃手としてもなかなか面白い素材だよ。
それにソウガくんとアヤトくんもそれぞれ武器や姿は違うけど、面白いよ」

薄型ディスプレイを操作しつつなのはがしゃべる。

「もちろんあの強さはエクリプスやゼロなどの力があってのものではあるだろうけど。
そうでなくても鍛えればかなりのところまで行くかもしれない。
黒髪ちゃん……アイシスもかなり飛べる子だし戦術爆破のスキルをチンクやウェンディが、
教えてあげればまだまだ伸びる。
リリィ達はまだ未知数だけど、彼女達の行動は好感もてるよ」

なのはがにこにこ笑顔で説明していく。

「8人ともなかなか面白そうな素材だよ! 育ててみたいーーーきっと強くなる」

なのはの笑顔の断言に呆れるヴィータ。

「そうやって楽しそうな素材に目ェキラキラさせるのはいいんですがね。
連中がとんでもない危険物である可能性について考慮しているんでしょうね?
ツグミは可愛いから、問題ないけど」

ヴィータはじと目でなのはを見ていた

「それはうちが放っておいても同じことじゃない?
拘束しておくにしても相応の警備や安全対策が必要になるんだし。
普通に過ごさせて犯罪者集団に持っていかれたりしたら大変なことになる」

なのはがヴィータを笑顔で見つめながら話す。
別の場所ではリリィ達の様子を見ているトーマ達。

「エクリプス対策は特務六課とその関係機関が最前線。
他に回すわけにはいかない案件だよ」

「まあ、そうですけど」

なのはの言葉が一理あることもヴィータにはわかっていることだ。

「それに万が一どうにもならなくなっても手の内を知ってる方が戦いやすいしね」
「またさらっとおっかないことを」

なのはの発言に汗を浮かべながらヴィータが言うと。

「いやいや『戦って取り戻す』って意味だよ?今回だってそうだったんだし!
私達はなんのための魔法使いなんだって話!
傷つけずに制圧する力は守るためと救うためにあるんだから」

なのはが誤解をとくように話しながら言う。

「あたしは騎士ですんで魔導師といっしょにされたくねーです」
「えー!?」

ぷいっとそっぽ向くヴィータにショックをうけるなのは。

「まあ私は隊長が選んだメンバーをブッ叩きながら鍛えるだけですよ」
「はい、ありがとうございます。ヴィータ二尉、あんまり無理しないでね」

そう言ってなのは去っていく。

【フッケバインの逃走と感染者とリアクターの保護。
トーマ達の話も含めれば「本と銃剣の二人組」が凶鳥じゃない可能性も出てきた
こっちも万全を期すなら態勢の立て直しや見直しなど、装備の増強もいるんだろうけど。
出動がかかればそういうわけにもいかなくなる。
状況がどう動くかわからない以上、捜査と緊急出動の待機状態を維持するしかない
現状の世界の武力態勢を揺るがす「魔導殺し」感染形態もその本質も、
まだわからないエクリプスウィルス。
切っ掛けさえあれば、世界レベルの騒乱や崩壊が起きる可能性がある】

着替えながらヴィータは考えていた。

〜〜〜〜☆
その頃フッケバインの方では、みんなでご飯を食べていた。

「あ、そういえば!」

ふと、気づいたのかアルが声を挙げる。
その声に視線が集中する。

「すっかり忘れてた、ぺったん胸のバッグと一緒に拾ったモノがあったんだった」

肉を食べながら片手を鞄に突っ込むアル。
すぐに目当ての品を取り出すと。

「こいつだ!」

取り出してカレン達に見せる。

『やっと思い出していただけましたか。もはやこのまま動力切れになるかとーー』

トーマのデバイスがげんなりした様子でつぶやく。

「それ、トーマ君の持ち物なんでしょ?」
「そうらしいよ」

人参を食べながら問いかけるカレンにアルはステラに渡しながら頷いた。

『そうなります。写真撮影や情報通信などに便利な非戦闘用端末です。
でれきば窓からでも捨ててくだされば勝手に主人のところへ帰れるのですがーー』

ステラはスティードのシールをはがしていく。

『ああ、ありがとうございます。素敵なお嬢さん』

スティードはステラにお礼を言う。
笑顔を浮かべるステラはとても愛らしい。

「う〜ん。トーマくんに嫌われるようなことはあんまりしたくないし、
帰してあげたいところなんだけどねェ」

カレンは悩みながらそうつぶやいた。
そして笑顔を浮かべると。

「ま、次の仕事が終わったら解放してあげるよ。
それまではうちにいて」
『次の仕事……ですか?』

にこにこ笑顔なカレンに問いかけるスティード。

「そう第16管理世界「リベルタ」兵器開発メーカー『ヴァンデイン・コーポレーション』
トーマ君達が持ってる9型ディバイダー発祥の地で『シュトロゼック』生誕の地だよ」

カレンは笑みを浮かべて答える。
とある病室ではリリィ達が目を覚まして笑い合っていた。


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