魔法戦記リリカルなのはForce鋼鉄の騎士
第四十話
『(逃げちゃだめ、銀十字!
シュトロゼックがいまそこにいくから!)』
涙を流しながらリリィは手を伸ばして叫ぶ。
すると腕輪を握って立ち上がり、前を見据える。
『ダイレクトコネクト作動 リンケージシステム 動作開始』
という音声が聞こえたと同時にリリィの周囲を風のような螺旋が舞い、次の瞬間には跳んでいた。
その次には上空にリリィが落ちるように降下していく。
そんな中リリィは昔のことを思い出しながらいままでのことを思い浮かべていた。
彼らの心優しさに嬉しく思いつつも、自分が悲しい想いも辛い想いもさせたことを後悔し、まわりの人達にも迷惑をかけたことを悲しみながら、
トーマに向けて手を伸ばす。
『(トーマ、トーマ、私だよ! リリィだよ!
答えて銀十字! リアクトプラグ シュトロゼック4thがここにいる!)』
必死にリリィは呼びかけていた。
『脅威ーー防・・・・御ー。異分子ーー反ー応』
銀十字はページをぱらぱらとめくりながらもなお、トーマを守ろうとしている。
トーマの周りをページが多数舞う。
『排ー除ーー』
するとトーマの手に密かに力がこもる。
それを見て息を飲むリリィ。
武器がそのまま振り下ろされそうになり、リリィは目を瞑るのだが、痛みはなかった。
「ふう、間に合ったな」
『さすが、リュウセイお兄ちゃん♪ バインドもお手の物だね』
そう、振り下ろされるまえにある程度近くにリュウセイが接近していてバインドを使用していたのだ。
『ねえ、大丈夫?』
『(は、はい!ありがとうございます!)』
ツグミの問いにリリィは頷いて答える。
するとツグミはくすりと笑い、リリィを促す。
彼女は頷くとトーマに手を伸ばして頬を撫でる。
変わらない自分では運命も未来もなにも変えられないとわかったから。
『(止まって銀十字。こっちに来て、トーマ
トーマ)』
涙を流しながらトーマの肩をつかみ呼びかけるリリィ。
「トーマッ!」
すると、声がリリィの声がでたのだ。
彼女の想いの丈の音声が。
その声が聞こえたのか、トーマは目を開ける。
「リリィ・・・・・?」
「うん・・・・・うんッ!」
彼はかなり驚いている様子でリリィを見ている。
涙を流しながらリリィは何度も頷いた。
「それにリュウセイさん・・・・?」
「よお、暴れん坊トーマ」
『もう、お兄ちゃん、失礼だよ?』
リュウセイを見ても驚いた様子のトーマ。
それは無理もないだろう、彼の装備は前に見た時と違うのだから。
「ごめんね、トーマ。わたしやっと思い出したの」
そう言ってトーマを抱きしめるリリィ。
「待ってたのはわたしを”助けてくれる人じゃなくて”
わたしの操縦者《ドライバー》、リアクター『銀十字』の制御プラグーー『シュトロゼック』の保有者になれる人」
抱きついたままのリリイはとつとつと話し出す。
「ツグミもそうなのか?」
『う〜ん、わたしの場合もそう変わらないかな?』
話を聞いていたリュウセイの問にツグミは苦笑いを浮かべている様子で話す。
「こんな運命に巻き込んでごめんなさい。 だけどトーマをこれ以上傷つけたりしないから」
「リリィ・・・・」
リリィはトーマをまっすぐ見つめて言うとトーマは一言つぶやいて彼女の名前を言う。
「トーマを死なせたりしないし、誰のことも殺させたりしないから、一度だけわたしを信じて。
わたしがきっとトーマを助けるからーー」
トーマの手を握ってまっすぐ見つめて真剣な顔で言うリリィ。
それは彼女の意思によるものだろう。
トーマはその硬い意思を感じ取ると黙って頷いた。
リリィは嬉しそうに笑うと息をすい。
「リアクト・ドライブッ!」
腕を伸ばしてリリィは真剣な顔でそう叫んだ。
腕輪が光り、彼女の服装が黒の魔法陣に囲まれて上下に動いていく。
次の瞬間には白い衣服に黒のラインがはいった衣装へと変化していた。
「思い出したんだ」
そう言ってトーマに抱きつくリリィ。
『リアクト・エンゲージ』
リリィがそう言った瞬間にリリィを光の球が包んでトーマへと入り込んでいった。
トーマはなにが起こっているのかわらかず呆然としているようだ。
リリィは黒い空間に降り立つと腕を横へ伸ばす。
するとトーマの腕も横へと伸び、銀十字を掴む。
「銀十字 自動防衛機能遮断シュトロゼックによる能動制御に切り替え!」
銀十字をリリィも掴んでおり、銀十字を開いて告げる。
「視覚・聴覚通常状態に復帰」
リリィの言葉通りにトーマの目も元に戻る。
「おお、元にもどったな」
『リリィちゃんが中で頑張ってるからね♪』
リュウセイの言葉にツグミは笑顔で言う。
「ゼロドイラブ緊急停止! 武装解除ッッ!」
本を持つ方とは逆の手を上にかかげて告げるリリィ。
するとトーマの方も武器を持つ方を掲げており、粒子のように武器が消えていく。
武装も彼女の言葉通りに解除されていた。
「抗体作動、エクリプスのコントロールはーーわたしがーー」
そう言いながらリリィは倒れた。
すると、同時に浮かんでいる抗力が消え、落ちそうになるのだが。
「おっと、大丈夫か?トーマ」
「あ、ありがとうございます、リュウセイさん」
しっかりリュウセイが掴んで落ちることはなくなった。
「トーマッ! トーマ、大丈夫!?」
「アイ・・・・・シス・・・!?」
アイシスが飛んできて声をかけると振り向くトーマ。
「済におけないな、トーマ」
「ち、違いますからね!?」
にやにやと笑うリュウセイに否定するトーマ。
アイシスはリュウセイを見てきょとん顔。
「ところでリリィは?」
「わからないんだ・・・・だけど・・・・・リリィは今俺の中にいるーーーリリィが助けてくれたんだ」
アイシスの問いにトーマは荒い息を整えながら話す。
なのは達の方ではというと。
「黒髪ちゃんやんちゃするなぁ。煙幕なんて焚かなくても・・・・」
手でぱたぱたと仰いでいた。
『いやはや、某もびっくりしましたな』
「マサムネはそのままリュウセイの方へ向かって」
マサムネがそう言うとフェイトは笑顔で告げた。
『了解しましたぞ』
そう言うとマサムネはそのままリュウセイの方へと向かった。
「さて、先頭状況はこれで終了ーーー?」
「はいーー」
「緊急救助の必要は?」
フェイトはスバルに問いかけると頷いた。
次の問いには
「要求護者ありのようです。もう一人の女の子ーーーリリィの姿も見えません。 リュウセイの手伝いに現場確認に行ってきます」
トーマを背負うリュウセイをみつつ、話すスバル。
すると、空中に通信ウインドウが開いた。
ウインドウに写っているのはシャマルだった。
【こちら本部、医療班、ソードフィッシュ1はそこにいて、救助と手伝いはこっちでやるわ】
とシャマルがそう話すと、リュウセイ達の傍にはすでにシャマルがいた。
「傷病者の救護と治療は医療班の仕事。”5人とも”お疲れ様」
そう笑顔でシャマルは告げた。
アイシスは驚いたように振り向いている。
【シャマル殿、某は?】
「もちろん、マサムネもお疲れ様」
いつのまにか傍に来ていたマサムネに笑顔でシャマルは言う。
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