A Short Story.
もういいよー

『じゃんけんポン!』
『あたし達の勝ちー!じゃあ瑠璃ちゃんが鬼ね!』

日が傾き辺りがオレンジ色になりかけている誰も居ない放課後の校舎。校庭では同じ年頃の少年達が草野球で盛り上がっているのか、校舎内まで声が聞こえる。
そんな中3人の少女達は校舎内でかくれんぼをして遊ぼうとしていた。鬼は瑠璃という子になったらしい。

『じゃあ数えるよ。いーち にーい さーん しーい─────』

『もういいかーい』

『まーだだよ』

『いーち にーい さーん しーい────── もういいかーい』

『もういいよー』

少女2人の声を合図に瑠璃は校舎の中を探し回った。

そんな事があったのも、もう30年位前の話。

あの後学校をでて家に帰宅した時間は夜8時頃。
鬼になった瑠璃が学校を出る姿を見た者はいない。


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