NandS
其の8
「なんなんだよ、一体…」
七海からの突然の着信。
そんな事があれば大体仕事の事だろうと想像がつく。ディスクと言ってる時点で新しい依頼ではないのだろう。だが『何時もの場所』という言葉、それにあの声のトーン。何かあった筈だ。
「面倒くせぇな…」
ハァと小さく溜め息を吐くと七海に言われた通りディスクを持って部屋を出た。

*******

「多香子さん、ちょっと七海んとこ行ってくる」
「え?七海ちゃんどうかしたの?」
「あー…、今何か荷物が重くて動けないらしいんだよ。だから来てくれって」
「あらー、お土産でも持ってきてくれるのかしら?そんなの全然いいのに」
「(お土産?)…もしかして七海家に呼んでた?」
「えぇ、今日は七海ちゃんの大好きなクリームシチューだもの」
「…そう。ま、いいや。じゃちょっと行ってくる」
「気を付けてねー!」

*******

「危なかった〜」
なんとか多香子を騙す事が出来たが、こんなだと仕事務まらないな〜なんて思ってみたり。
「………」
今俺何考えてた?仕事?…俺もそろそろ危ないな…。
「そんな事より」
そう、そんな事は置いといて。
「早く行かなきゃな、『秋山中華料理店』」
遅れたら七海に何言われる事か、と想像しながら自転車のペダルを漕いだ。

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