白くまマン
白VS黒…なのかな?
「手を挙げろ!」
その一言でその場にいた人全員手を挙げた。
場所は銀行。
上の言葉を言ったのは俗に言う

銀行強盗。

彼等は皆黒い覆面を被り銃を向けた。それに恐怖した人達は手を挙げて自分を守ろうとしていた。
強盗犯の一人が近くにいた銀行員の額に銃口を突きつけた。
「!!」
「ここの有り金全部持って来い」
「は、はいぃぃ!!」
とコクコクと頷きながら答えると、ゆらゆらと椅子から立ち上がった。
「早くしろっ」
銃で銀行員を促すと銀行員は慌てて駆けていった。そのあとを監視役の強盗犯がついていった。
その場に残った強盗犯と被害者達。強盗犯は覆面で目元と口元しか見えない顔を歪ませた。
「実はスペシャルゲストを呼んでいる」
その声は楽しそうだ。
それとは反対に被害者達は不安と恐怖を混ぜたような表情をしていた。
「スペシャルゲストはコイツだ!!」
そこにいたのは、デカくて黒くて楽しそうな何かを企んでそうな顔をした黒くまマンがいた。
黒くまマンは声を出さずに笑うと一歩、また一歩と歩き出した。
そして一人の男性の前まで進むと男性の顔と自分顔の高さを合わせた。男性は顔に汗をかいている。黒くまマンはニヤついた顔のまま自分の手を男性の顔の前に持っていくと
「!?」
指を男性の鼻の穴に突っ込んだ。
黒くまマンは声もなく笑うとまた歩き出した。

ところかわり、金を持って来いと言われた銀行員はいつ警察に電話しようかタイミングを図っていた。自分の後ろには犯人の仲間。バレずに電話するのは至難の業だ。兎に角言われた通り金庫から金を出し袋に詰め込んだ。
近くにいた強盗犯の1人は緩んだ顔を元に戻そうとして情けない顔になっていた。その顔のまま袋を奪い取ると銀行員を銃で戻るように促した。
銀行員が戻った時目にしたのは黒くまマンと黒くまマンに色々イジられた人達(犯人含む)だった。
「なっ…黒くまマン!お前何やって…!」
黒くまマンは銀行員と一緒に戻った強盗犯の1人を見つけると彼にもイジり始めた。
銀行員はというと、黒くまマンを見て1つの希望を見いだした。
黒くまマンには対になる白くまマンがいる。黒くまマンが悪ならば白くまマンは善。
銀行員は白くまマンを呼ぶ事を決心した。

「白くまマン!!」

白くまマンを呼んだ瞬間、黒くまマンが反応した。
黒くまマンは現れた白くまマンに見せつけるように銀行員の首に腕をまわした。
「………」
「………」
静寂が漂う。
銀行員が緊張のあまり唾を飲み込んだ瞬間

白くまマンが動いた。

白くまマンは先程持ってこられた金(札束)を黒くまマンめがけ投げた。
「!!」
札束に気をとられた瞬間、白くまマンは黒くまマンの懐めがけ駆け出した。
黒くまマンの腕の中にあの銀行員はいなく、白くまマンもいなかった。
黒くまマンがそれに気づいた2秒後にパトカーのサイレンが銀行付近で響いた。警察が銀行に乗り込んだ時にはもう黒くまマンの姿はなく、黒くまマンにイジられた人達が残っていただけだった。

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あきゅろす。
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