白くまマン
意外な特技?
「いけっ…えいっ…ブレーンバスター!!」
コントローラーを片手に頑張る少年がいる。
今年で10歳になった榎本翔太。彼は今巷で話題の格ゲーに夢中だった。10歳の誕生日に買って貰ったのだ。
だが、朝からなかなか進んでない。どうやっても倒せない敵がいるようだ。
今だってテレビの中から

『Winner Computer!』

って言う声が。
「クソッ!!なんで倒せないんだよ!」
翔太はコントローラーを投げ出し床にごろっと寝転がった。
「ん〜…!!疲れたなー…。少し休んでからまたやっかな」

ガチャ

「翔太ぁ!父さんがやってやろうか?あっはっは!!」
豪快に笑いながら翔太の元にやって来たのは翔太の父親だった。
この父親もこのゲームで遊びたいらしい。
しかし、翔太は父親を横目で見やるとぶすっとした顔になって言った。
「ダメ。ヤダ。この敵はおれが倒すの!父さんには勝たせない」
父親は少し笑顔を引き吊らせながら「そ、そうか」と言い残し頭を垂れながら部屋を出ていった。
「そう…アイツはおれが倒すんだ…。でも、今のままじゃ全然進まないよ…」
少し目を伏せながら悲しそうに呟く翔太。
「一体どうしたらいいんだ?攻略本買うにもお金がなぁ…」

「翔太ー!!お夕飯出来たわよー!!」

「もうそんな時間か…」
翔太はゆっくり体を起こした。そしてテレビの画面に目を移した。画面には対戦相手のコンピューターが勝った事が記されている。
「……………」
ボソッと零した翔太の言葉に反応して部屋中に白い煙が現れた。
「うわっホントに来ちゃったの!?白くまマン。…まぁ、いいや。コイツの倒し方教えてよ」
すると白くまマンは翔太の横に座るとコントローラーを持った。

1時間後

『Winner Player1!』

「よっしゃあ!!やっと倒せた!やったぁー!!」
榎本家に翔太の声が響き渡った。
その後、部屋に翔太の母親がやって来て
「2人共、今日のお夕飯抜きよ!」
何故か白くまマンまでお夕飯抜きになってしまった。

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