白くまマン
飛ばないで!!
風の強い今日。天気は良くまさに洗濯日和だ。
そんな中、笑顔で洗濯物を干す女がいた。
木多三 夏子(40)
彼女はサラリーマンの夫と2人の子供に恵まれた普通の主婦だった。

ビュウビュウ
ビュウビュウ

「相変わらず風が強いわね〜。でもこんなにいい天気、干さないわけにはいかないわ」
夏子は風に飛ばされないようにしっかり洗濯物を押さえながら干していった。

ビュウビュウ
ビュウビュウ

夏子が部屋に戻ろうとした瞬間────。
ふわっ
「ああっ!!服がっ!!」
飛ばされた服はそのまま風に乗り電線に引っかかってしまった。
「どうしよう…。あれお気に入りなのに…」
夏子はベランダの上で行ったり来たりを繰り返していた。
「うーん……!!そういえば秋那が何か言っていたわね…」
秋那とは夏子の2番目の子供だ。夏子は眉間に皺を寄せて秋那の言葉を思い出すことに専念した。

『困った時には白くまマンだよ!』

とうとう思い出した夏子は嘘だと思いつつ呼んでみた。
「し、白くまマン!」
するとどこからともなく白い煙が部屋中に現れた。
夏子はその煙の中からひとつの影を見つけた。
「あなたが白くまマン?」
影の正体・白くまマンはひとつだけ頷いた。
「じゃああれを取って欲しいんだけど…」
夏子は飛ばされた洗濯物を指差した。白くまマンは了解したとばかりに頷くと、部屋を出ていった。
「大丈夫かしら…?」
数分後。
「まぁ!取って来てくれたのね!ありがとう!」
夏子のお礼の言葉を聞いた白くまマンはまたどこかへ行ってしまった。
夏子は再び洗濯物を干そうと服に目を落とした。
「こ、これは…鳥のフン…!!」
夏子が秋那の言葉を思い出していた時、カラスが落としていったものだった。

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