白くまマン
白くまマン育成学校

『白くまマン育成学校』

 それは、誰も知らない秘密の土地で、誰も知らない秘密の場所にひっそりと佇んでいる。
 まずは、そうだな入学資格の事から話そう。
 白くまマン育成学校には入学試験はない。資格ある者のみ入学できるシステムだ。資格とはボランティア精神が問われる。無償で行う事を好む者のみ入学が許される。見返りを求める者は白くまマンにはなれない。そのような者が辿る道は黒くまマンのみだ。
 入学資格得て入学した者が初めに行う事は身も心も白くまマンになるべく白くまマンの格好をする事だ。そして学校目標を聞かされる。
 1年生は与えられた白くまマンの着ぐるみ。
 2年生は思い思いに描く白くまマンを制作しそれを自ら纏う。
 3年生はそのような補助がなくとも誰から見ても白くまマンに見えるようになる。
 この3段階が学校目標であり、進級、卒業に関わってくる。
 次は授業について話そう。授業は一般的に普通の学校と変わりはない。週5日、週休2日の割合になっている。1日の授業は50分の6時間である。
 科目は、道徳、地理、数学、技術・家庭、体育が一番のメインである。なぜなら白くまマンとして一番必要な事は思いやり、次に地図の知識、要領のいい考え方、お手伝いをするための技術、そして何よりそれらを実行するための体力が必要だからだ。
 それでは少し1年生の教室を覗いてみよう。

「白くまマンの祖先は時代を遡る事1300年、平安時代に活躍したとされる白くまの公と言われ主に恋人同士の手紙のやりとりの担い手でした」

 この教室は歴史の勉強をしているようだ。ついでに補足をしておこう。その当時この学校は「白くまの里」と言う隠れ里であり、これまた多くの白くまマンを世に送り出したのだ。
 次の教室は……。

「今から手本を見せるからよ〜く見ていなさい」

 今度は体育の授業だ。懐かしい! かく言う私もこれには苦労した。1年生の体育で初めにやる事は、白い煙と共にどこからともなく顕れる事。これが以外と難しい。コツを掴むまでかなり苦労をする。頑張るのだ1年生諸君。
 授業についてはこれくらいにして次は生活場所について話そう。
 当学校は寮生活になり、卒業するまでは一切、帰省や土地からの外出は認めていない。厳しいかもしれないが白くまマンの存在は世の明るみに出てはならないからだ。しかし一旦卒業してしまえば後は自由。白くまマンとしてひそかに活動するもよし。普通の生活に戻るもよし。新たな白くまマンを育成する教師になるもよし。自由に選ぶことができるが白くまマンと関わりの無い道を歩む者には白くまマンについて一切口外しないと言う誓約書を書く。これを破ると……まぁ、話す必要はないだろう。
 1人1部屋が与えられ自由に使う事ができる。寮についてはあまり話すことがないが寮の規則は1つ。たとえ部屋に1人で居たとしても白くまマンの格好であり続けなければならないのだ。
 さて次は何を話そうか……。

「白くまマーン!」

 誰かが呼んでいる! 行かなくては! すまないが今日はこの辺にしてまたの機会に話すとしよう。
 ん? 私は誰かって? そう言えば自己紹介がまだだったな。私は白くまマン育成学校の校長を務める現役白くまマン、チャームポイントは、オレンジ色のヘルメットに黄色マフラーだ。

 そして白くまマンは去っていった。いや、呼び出されていった。いつか見たあのバイクに乗りながら颯爽と白い煙と共に。



※※※※※※※※


「俺のバイクはどこだぁ〜!」

 彼の叫びは未だ道路に響いていた。

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