TickeT
望まぬ不死者(3)
「これが見えるか」
おもむろにナイフを取り出した。刀身がギラギラと光っている。まるで輝きを誇っているかの様に。
「な…何をするんだ」
「俺は、他人によってコロサれる事は無い。周りがあまりにも低すぎるからな。
そして自らの手で死ぬ事は許されない。今までにあまりにも人をコロシてきたから、自分を殺す権利がなくなったから」
「何を言ってるんだよ。それにナイフって」
「──そして今は死自体が無くなったんだ。
こんな世の中に生きているのが嫌になったのに…。自分でコロシたってもうそれは本当の死じゃない、他人に殺される事もない。
そこで人に非ざる力を使って死を得ようとした結果がこれだ。もう自分の手で肉体を滅ぼす事さえできない」
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