TickeT
這い寄る夜襲(3)
「……」
不意に立ち上がり、部屋を歩き回る。こんな時にじっとなどしていられない。誰かに見栄を張って冷静にしていようとは、別に思っている訳ではないし。少しでも意識をそれに向けるためにただ歩く。
「せめてA氏と会えたら…。いや、会えたからって何ができるっていうんだ。許しを乞ったとしても、それで全てが元に戻る訳じゃない。チケットを返したところで力が帰る訳じゃない。
…やっぱり何もできないじゃないか…」
そして、前触れも無く窓が泣いた。
──ガシャーン
「…えっ」
口からはその一言、心の中では「一体何が起きたんだ」という焦り。
[back][next]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!