TickeT
這い寄る夜襲(1)
一人。落ち着かなさげに椅子に座り、
「本当にどうすればいいんだろう…。僕のせいで誰かを狂わせるなんて…。あの時の好奇心が無ければ…」
誰にともなく語りかける。
「このチケットがそんな力を持ってるなんてな。単なる紙切れにも思えるのに」
手に持っているチケットを揺らしながら眺めた。どう見たって普通の紙、紙でできている。一体どこに力が隠れているのだろうか。
「でも一体どうすればA氏の…うーん、A…Aか…。誰だろうA氏って。もし敢えて『A』を使っているんだったら『あ』から始まる名前なのかな…」
自分の軽率さに弱って、少しでも現実逃避しようとした。言い方をすごく良くしたら、視点を変えて別の角度から見ていると言えるが。本当はそんなものじゃない。
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