TickeT
雨音の余韻(6)
「ふふっ、貴方と話すのは本当に面白かったですよ。それでは──」
彼女は後ろに向きながらそう言い、完全に背中を向けると歩き出してしまった。後ろ姿を見て「もう行ってしまうのか…」と思っていると、彼女は数歩進んだ所でふと立ち止まった。
「そうだ──」
話しかけているのだが、こちらを振り返らず進行方向を向いたまま話し始めた。
「どうかしたんですか」
「もしかして今『死への感覚』はありますか」
「死への…何ですか、それ」
「いえ、別に何も感じないんだったらいいんですよ。興味本意で聞いただけですから」
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