TickeT 雨音の余韻(5) 「チケットの効力はそこまで及んでいませんからね。そうなるんだったらそうなります。『なるようになる』です。 まあこれで最終確認もできた訳ですし、そろそろ帰る事にしましょうか」 「帰るんですか…」 ふと出てしまった。 「どうかしましたか」 「いや…あの…こんな事になるなんて少しも思っていなかったから、ちょっと憂鬱な気分になっちゃって…」 ──くすっ また笑われてしまった。きっとその時、僕の顔は熱くなっていたに違いない。 「やっぱり大丈夫です。もう大丈夫です」 焦って意味も無く繰り返す。 [back][next] [戻る] |