TickeT
雨音の余韻(1)
「また話がずれてしまいましたね。しかし貴方がいけないんですよ。貴方は本当にからかいがいがあるから──」
彼女はそう言うと、今度はクスクス含み笑いをしていた。
「でもそんな事はとりあえず置いておきまして」
──がすぐにそれを噛み殺して話を戻した。
「移った一つの権利が貴方に既属しているというのは分かりましたよね。そして貴方がすればいいのは目的地を決める事だけです。──が、そうは言ってもここで貴方はクジを引かなくてはいけません」
いや、それが比喩だって事は分かっていた。だって前に彼女が使っていたから。しかしなぜだろう、持っているかを確かめていた。
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