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TickeT
移り行く振動(7)
「一体どうして私を視覚で捉える事ができたのでしょうか…。目を介するという事は、相手を像で記憶するという事になる訳ですよね。記憶はそれほど気にしていないと言いましたが『出会いの記憶』と『像の記憶』では重さが違うんです」

「重さが違う…」

「前に言った『出会いの記憶』は結局思い起こす時に『はい』か『いいえ』のどちらかを表す物でしかありません。しかし今の『像の記憶』ですと、目を思い出し、口を思い出し、耳を思い出す訳ですから、もうそれだけで体なんです。記憶だから曖昧と言えば曖昧ですが、体の具現化度が上がる事に変わりありませんから危険なんです。ですから視覚は、全ての感覚の中で最後に理解されなきゃいけないんです。まあ、そうされる様になっているんですけどね」

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あきゅろす。
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