TickeT
移り行く振動(4)
既に理由が理解し切れないものになっていたにも関わらず、これからその否定に入ろうとしているので、不安を感じずにはいられなかった。
「──貴方とA氏の揺れ方を客観的に比べると、貴方の方が必要な揺れ方に近い状態になったと言えるだけであって、完全とまではまだ言えませんでした」
「あ…もしかして…さっき姿は何も見えないのにも関わらず、足音が聞こえたのはそのせいだったんですか」
彼女は少し驚いた様子を見せて言った。
「状況を理解する速度が速くなってきていますね。最初はしどろもどろしていたのに」
最後には笑みも含んでいた。
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