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TickeT
移り行く振動(3)
「A氏のためにのみ存在している私に貴方が会えたのは、その一点に私の存在理由が惹かれたからなんです。
 しかし貴方は最初から、A氏の運命の揺れ方をしていた訳じゃなかった。少しずつだけど確実に、似た周期と方向で揺れる様にはなっていきましたが。ですからまだ揺れ方が合わないときは感じず──貴方の言葉から考えると──三日目に、二つの揺れ方は中間地点に辿り着いたんですね」

 とりあえずここまでの話で、彼女の言葉に感じた前述の疑問を崩してはもらえた。しかしこれは、頭の中にある世界でなら可能な出来事であろうが──これ以上の事も以下の事も、何度も何度も想像したものだったが──直に体験すると「疑」の一文字でしかなかった。そしてその一文字を薄れさせる前に、彼女はまた話し始めた。

「しかし」

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あきゅろす。
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