TickeT
無賃乗車(7)
うっすらと、先程と同じ様な笑みを出した。それを見て情けなく思ったが、促されるままに答えた。
「今は僕が受け取った…」
僕の言葉に対する彼女の反応は無かった。
「チケットにも存在理由があります。そしてそれは、ある限定された『孤』の運命を変えるというものです。つまり、貴方が持っているチケットは、A氏のために存在しているんです。
なぜチケットが貴方の元にありながらも存在し続けたのか、と疑問に思われるかも知れませんね。しかし、もしそう言われても──どうして彼が貴方の所へやって来られたのかと言われても同じですが──私達にも分からないんです。呆れるかも知れませんが、分かっていれば、始めからこんな事態にはなっていませんよ」
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