TickeT 無賃乗車(5) 「ちょっ…ちょっと待って下さい。だったらその人は僕のせいで、ただ待つだけになったんですか」 ちょっとした好奇心で、人間の生きる機会を奪ってしまったのか。そんな事が在ってはならない。 「どうなんですか」 強調する僕の顔を、期待通りという感じで見つめる少女。 「変わった事は一つですよ。それは、A氏の席に貴方が座ったんだから、A氏の目的地を決めるのも貴方になったという事だけです」 僕はその言葉に救われる思いがした。また同時に、深く聞きたくもなった。 [back][next] [戻る] |