TickeT
不思議な男(3)
「使い方は簡単です。チケットを肌身離さず持っていて下さい。そうしていただければ、明日からの七日間以内に『生』と『死』への分かれ道に出会えます」
僕は何故かその時「死」という言葉への恐怖に気づかなかった。
これから何かが起こるのかもしれない、という期待の方がとても大きかったからだろうか。
まるで「死」への恐怖というボールの上に「期待」という布が覆い被さっているかの様に。
心臓は激しく鼓動していた。暑さも手伝い、服の下には既にたくさんの汗が現れ始めていた。
しかし、僕は色々と考えていたせいでか、その事には気がついていなかった。
彼に、今日は大変暑いですねと言われ、はっと初めてその事に気がついた。
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