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TickeT
理由あり存在(4)
 彼女は少し考え込んでいた。しばらくすると、良い考えが浮かんだらしく、僕の顔に目を向けた。


「よく人間は何か目に見えない感情等を、理解できていない人に対して比喩という、言葉を用いて表す事がありますよね?」


 僕は「そうですね」と一度頷いた。


「私達はそういう元来視覚化できない事柄を、より具象化させて形を持った物だと考えて下さい。
 例えばチケットを持って来た彼なら、チケットと人間、人間と私との『繋ぎ』となる存在です。そして私は、繋げられた人間の死までの『刻』を示す存在なんです」


 彼女は自分の両腕を前に出して強調した。僕の目にはあの数多の時計が入ってきた。


「そんな、ありえない物に形を与えたのが、あなたや彼だっていうんですか? そんなこと信じられるわけないですよ」


「だったら実際に存在している私達はどう説明するっていうんですか?」


 素直に言えば僕には嘘にしか思えなかった。嘘を吐いたところで意味は成さないだろうが。


 彼女の揚げ足を取るような返事に、嘘だ思うと言えるはずもなくただ拱いていた。



「この世の真実が全て理解できるとは限りません。それに貴方が理解できなくても真実は真実。これは一端区切りということにしましょう」


 彼女は僕が答えれないままなので、結局はぐらかす感じで次の話題に移りだした。

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あきゅろす。
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